マツダらしさが滲む「マツダイノベーションスペース東京」のリーダー

今回、お話しを伺った「滝村 典之 執行役員」(以降、滝村氏)は長年に渡って人事の責任者を担われ、現在は執行役員としてコミュニケーション・広報・渉外・サステナビリティ・東京首都圏担当をされている東京エリアの統括責任者です。

そして、「別府 耕太 室長」(以降、別府氏)は現在、MaaS事業準備室の室長を担われていますが、何と! 以前は“MAZDA3”の主査(開発責任者)をされていたとのことで、当時のエピソードを伺ったところ『“MAZDA3”を生きる糧と言ってくれたファンとの出会い』について紹介してくれました。
具体的には『そのファンの方は「“MAZDA3”に一目ぼれをして購入したところ毎日の生活が変わり、購入前は会社に行くのが憂鬱で毎朝が苦痛だったのが、購入後は乗車前にスタイリングを眺めたり通勤で運転したりと朝も楽しくって、“MAZDA3”に出会えていなかったら会社を辞めていたかもしれない、人生が変わりました。本当に感謝しています!」と涙交じりに話されていました。』と別府氏は話され、さらに『そのように至った背景には、“MAZDA3”の開発初期段階で生活者に対する提供価値を発散的に考えるために、家電やコンテンツ(映画・音楽・漫画等々)、食品や飲食などから人々の心をとらえたプロダクトやサービスを分析していて、その時にジャンルや価格に関係なく共通していたのが、社会課題や個人課題を解決していることであるとわかったため、“MAZDA3”の開発では“人の心を動かすこと”に注力していて、いくつか無茶もして実現しています。』とのことでした。
続けて『結果的には自身もファンのおかげで、仕事する目的が良い“クルマを造る”から“人々の生活を彩る”へと昇華させられ、今もこのように新規事業開発に取り組んでいる中、もう一度このような達成感を味わいたいのがモチベーションです。』と話されていて、まさに「マツダイノベーションスペース東京」の源泉であると感じます。

新規事業を進めるにあたっては、往々にして経営や事業といったオフィス系の部門で企画業務を担われていた方がリードされることが多いと思われますが、マツダはクルマの開発責任者をされていた方が担われていて、さらに「マツダイノベーションスペース東京」には、ちゃんとロータリーエンジンの部品やマツダの数々のモデルのミニカーが置いてあって、聞けば個人の所有だとか、まさに「移動体験の感動を量産する。そんなクルマ好きの会社であり続けたい。」が体現されていると感じます。

マツダが「イノベーションスペース東京」で進める次世代事業とは?【自動車業界の研究】
左から滝村執行役員と別府室長(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)
マツダが「イノベーションスペース東京」で進める次世代事業とは?【自動車業界の研究】
懇親スペース(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)
マツダが「イノベーションスペース東京」で進める次世代事業とは?【自動車業界の研究】
ロータリーエンジンの部品とミニカー等(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)
マツダが「イノベーションスペース東京」で進める次世代事業とは?【自動車業界の研究】
MAZDA3〔MAZDA〕(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

新規事業によるイノベーションを東京で進める理由

滝村氏は、『ここ10年で立ち上がったスタートアップ企業の65%超が東京で起業しているというデータからも、日本の新しいビジネスの7割近くが東京で生まれており、そういった意味でも東京は新陳代謝が激しくてビジネス上、非常に活力がある土地だと考えています。』と新規事業を東京で推進する理由としてあげています。
続けて『六本木ヒルズ以外にも候補はありましたが、我々にない経験やスキル、価値観を持っている人材が多く集まる場所に身を置きたいと考えて、最終的にその要件に最も当てはまると判断したのが六本木ヒルズでした。』とのことで、東京における移り変わりの早さと活力が「マツダイノベーションスペース東京」が六本木ヒルズに設立された根幹であると理解しました。

さらに滝村氏は『このようなスペースを設けた背景には、100年に一度の変革期と言われる先行き不透明な時代において、マツダがどのような体質になっていくべきか? どのような技術や人材と繋がっていけば良いのか? ということを常に模索して進む必要があると捉えており、そういったことを一緒に考えてヒントを得られるような人材との出会いが不可欠ですが、我々が“こうしたい”と考えたことに対して手伝ってくれる人材を探していくという姿勢では時代変化のスピードについていけないので、そのためにも周辺エリアにIT、ソフトウェアや新規ビジネスといった業界の方が多いという好環境を活かして、我々のようなメーカーがオフィスを構えるのは珍しいと言われる中、全く異質の方々とのコミュニケーションを通じて、時代変化のスピードに順応していく道筋を探れるところも価値としては大きいです。』とのことです。

さらに滝村氏は『実のところ、毛籠社長が変革期において最も重要なリソースは人であると考えており、六本木ヒルズで得られる価値を強く感じて「マツダイノベーションスペース東京」をバックアップしていて、社長の経営理念である「ブランドとして常にお客さま視点でビジネスを考える」を日頃から話しています。』とのこと、やはり、東京の六本木ヒルズには多種多様でスピード感のある人々が集うため、次世代の新規事業に向けたイノベーションを推進するには適しているという結論に至って開設を判断されたようです。

実際に「マツダイノベーションスペース東京」のある六本木ヒルズを訪れてみるとマツダの「東京本社」のある霞が関ビルディングに集う人々とはまた違った雰囲気や魅力が感じられ、“毛籠社長の経営方針が迅速にひとつのかたちになっている”ところに、マツダの次世代ビジネスに向けた挑戦と本気を感じます。

マツダが「イノベーションスペース東京」で進める次世代事業とは?【自動車業界の研究】
マツダイノベーションスペース東京 大会議室〔MAZDA〕(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)