そもそも、単純に週5出社自体が全身全霊で働いていた時代の名残だなとすごく思っていて。やろうと思えば週4出社とかに多分できるはずなのに、それをやっていないこと自体が、真剣に働き方を変えようと日本全体が仕事していない結果なんじゃないかなと思ったんですよね。

―――組織や上の立場からすると、やっぱりみんなによく働いてもらいたいなと思いますよね(笑)。

経済的な論理で言うとですね(笑)、もちろんそうなるのは当たり前で。

でも、社会人である私達には、仕事とともに人生があるわけじゃないですか。その人生のことを会社は別に考えてくれないので、働いているなかで人生をどうしていきたいかについて考えたときに、本当に週5が正解なのかとか、本当に今の結果を保つ上で週5でやるべきなのかという議論は、もっとなされるべきではないかなと思うんです。

ーーーいま働き方改革をしようという動きが進んでいることについては、良い方向に向かっていると思いますか?

良い方向になっていると考えています。私は、この本を自分たち世代の働き方改革を始めるきっかけの本にしたいなとすごく思っています。上の世代の働き方改革は労働時間を短くするだけで精一杯だったと思っているんですよ。

でも今からは、精神的な部分で、“全身全霊”自体を少し古いものにするとか、本を読めることが少しでも当たり前になるように変えていくべきフェーズなのかなと思いますね。

『あしたのジョー』は……。

ーーーちなみに“全身全霊”というのは、1つのことに突っ込みすぎるということですね。

はい、それが“かっこいい”となっているような。そういう意味で言うと、本を読むことは今までの自分のなかになかった世界を知るという意味で良いことだと思いますね。

自分を俯瞰してみたり、他人のこととか違う世界のことを考えたりするきっかけになるんです。

全身全霊って自分のことだけ考えてドーパミンが出る状態だと思うので、(本を読むことは)クールダウンさせてくれるものでもあるのかなと思います。