色々な方面から麦くんへの風当たりが強すぎて(笑)(※)。
※補足:ネタバレ注意
イラストレーターの仕事をしていた麦くんは、親からの仕送りが止まり、仕事で稼げなくなっていった結果、就職活動をして物流企業の営業職に就きます。そこでの過酷な労働環境から、麦くんは共通の趣味を持っていた彼女の絹さん(演:有村架純)と過ごす時間が減り、思いやりや配慮が足りない言動をするようになったなどと批判されています(と筆者は解釈しています)。
ーーー1日24時間、家事や仕事だけやっているわけじゃなくて、スマートフォン(スマホ)をいじっている時間もあるじゃないかと言えるとも思います。
それこそが『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』のなかで書いてある“ノイズ”というものの正体だと思っていて。「“情報”と“知識”は全然違うんだよ」という話をしているんですけれども、スマホで知るのは“情報”だと考えています。
スマホは、仕事や(SNSで)フォローしてる人のこととか、自分が知りたいことが流れてくるじゃないですか。それに対して本って、タイトルで何が書いてあるのかも想像ができなかったりします。
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』は、読み始めには「明治時代の読書のことから(話が)始まるとは」と思う人も結構いると思うんですけど(笑)。本の方がやっぱりノイズ性が高くて、自分のなかで予想もしていなかったノイズを受け入れづらくなるんだなと思いますね。
―――なぜ、そういう現状になっているのでしょうか。
私は本のなかで、“全身全霊”という言葉で書いているんですが、仕事で自己実現を全て行おうとか、時間は仕事にできる限り使うべきだという信仰のようなものが、労働時間としては昔より働き方改革が進んでいるものの、まだまだ強いと思っているんですよね。
そんな働き方をみんなに望んでいると、ノイズを取り入れる読書は、全身全霊の働き方を邪魔するものと捉えられるんだろうなと思います。