昔「小公女」のアニメ版を見ていて、不思議に思ったことがある。
「いったいセーラは、お釣りを数え間違えなかったぐらいでどうしてそんなに感心されるの?」
有名なストーリーなので詳細は省く。下僕仲間のベッキーは、市場に買い物に行かせると、必ずお釣りを間違える。セーラは間違えない。おかげで厨房のおかみに感心される。
おとなになってから、調べてみた。そして、彼女はこんな算数問題を正しく解ける子なのだと知った。
3シリングと7ペンスの買い物に4シリング出しました、お釣りはいくら?
皆さんどうか挑んでみてください。
「4シリング」は「4×12=48ペンス」で、一方「3シリングと7ペンス」は「3×12+7=43ペンス」のことだから、「48−43=」で5ペンス… と即答できるようなら、あなたも庭に咲くひまわりに称えられることだろう。
ちなみにこの頃のイギリスでは、ペンス銅貨が12枚あれば、シリング銀貨1枚と交換できた。
ちなみにシリング銅貨が20枚あれば、ポンド金貨1枚と交換できた。
当時は他にもいろいろイギリス硬貨があった。『小公女』と時代が重なる『シャーロック・ホームズの冒険』にあたると、ファージングとかギニーとかクラウンとかフローリンとかグロートとかの他に、半ギニー金貨とか4ペンス銅貨とか、いったいどれがどれと何枚で交換できるのやら、暗算が苦手な私は、きっと毎日間違えては雷を落とされてしまうだろう。
金本位制の始まり高校で化学を習った方なら覚えているだろうが、銅銀金は周期表において三タテの元素である。歴史的いきさつは長くなるので省くが、希少金属として世界各地で、ものの価値の物差しとして使われてきた。
それはやがて今でいう貨幣となり、交易に欠かせないアイテムとなった。その仲介業として、今でいう銀行にあたるものが生まれた。さらには王権と民間の中間的なものとして中央銀行が設けられた。