年に一度の「戦争を振り返るシーズン」も、実に79回目。不幸なことに、ウクライナとガザの双方で、続く戦争が進行する中で迎える夏である。

昨秋から気にかけてきたが、ウクライナはついにロシア領内へ侵攻する冒険的な賭けに出た。またイランがイスラエルへの大規模報復に踏み切れば、文字どおりの「第五次中東戦争」となろう。

しかし、多くの人の関心は低い。誰も頼んでないのに、青黄のウクライナ旗や赤黒白緑のパレスチナ旗をSNSのプロフィールに掲げ、「参戦」気分だったアカウントの数も、少なくなる一方だ。

先日、コロナとウクライナで「専門家」が犯した失敗について、さるメディアに採り上げるよう申し入れたら、コロナはむろんウクライナも「今はホットイシューではないので」との表現で、お断りの返事が来た。当初は毎週のように同じ顔ぶれの専門家を起用し、「関心を持たないのは非国民」とばかりに煽りまくっていた媒体が、である。

無責任なセンモンカは、しめしめよかった、これで戦争の帰趨がどうなろうが「自分は言い逃げできる」と胸をなでおろすのだろうが、歴史学者だった私はそうはいかない。飽きもせぬ抗戦・抗戦・抗戦・抗戦……の無益なお喋りから遠く離れて、いま、こうした一節が耳に痛く響く。

ベラ島に上陸したときからろくな武器もなかったが、バースランドに移って間もない頃、連隊から叺〔かます〕が届いたことがある、中隊の准尉が叺をあけた、叺には米が入っているはずだった、ところが、入っていたのは石ころだった、

叺を運んできた兵隊は殴られる覚悟をしているようで、今にも泣きそうな顔だった、運んでくる途中、部隊を離脱した友軍の街道荒らしに遭って、中身を詰め替えられたというのだ、軽機を突きつけられ、抵抗のしようがなかったという、