―――「TABETE」のこれまでの食品ロス解消の実績について教えてください。

篠田さん:2023年7月末時点で、累計約115万食のレスキューを達成しています。登録ユーザー数は約98万人、登録店舗数は2,870店舗です。

―――寄付活動もされているとのことですが、その詳細について教えてください。

篠田さん:金額は開示していないのですが、「TABETE」の売り上げの一部を板橋区で子ども食堂を運営しているNPO法人に寄付しています。

今年は能登半島地震関連の募金活動を行っている団体に寄付したり、災害時にピンポイントで寄付を行うこともしています。

「必要悪」から社会の課題へ。食品ロスへの意識の変化

―――サービス開始時に比べて、「TABETE」に出品する飲食店側とユーザー側、それぞれに意識の変化を感じることはありますか。

篠田さん:飲食店側については、かなり意識が変わってきています。2018年当時は食品ロスが課題であるという認識がほぼなく、むしろ「必要悪」だと受け入れられていました。

ほとんどのお店で廃棄率が設定され、その分の金額は通常の販売価格に上乗せされているので、経営上問題はないし、食品ロスが出ていることを世の中に発信するのはマイナスのイメージになるのだからこんなアプリは使われるわけがない、と言われたこともありました。

しかし最近は、(政府が目指す、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする)カーボンニュートラルや、原材料価格の高騰によって、これまでのように「大量に作って大量に売る」のではなく、食品ロスに取り組むのが経済的・社会的にもメリットがあり、ブランドイメージの向上につながるという認識が広まりました。

ユーザー側については、2018年当時から積極的にボランティアやフードバンクの活動をするほどではないけれど、食品ロスに対する課題意識を持っていて何かしたい、と思っている方が多いです。