スカウトボバーの車重は246kgで、軽量というわけではないけれど、ローダウンで低重心化された車体のおかげで取りまわしは予想以上に軽快だった。ファットな前後タイヤは直進安定性が高く、徐行時にはハンドリングに重たさを感じたが、小走り程度のスピードが出ていれば車体の倒し込みも軽快で、コーナリングもスムーズに行なえる。
新型エンジンはパワフルなのはもちろんだが、それよりもトルクの太さが印象的だった。アイドリングは1200rpm程度だが、2000rpm辺りから図太いトルクが立ち上がり、押し出されるような加速力を発揮してくれる。スロットルをほんの少し開けた瞬間に怒とうの加速が始まり、その爽快さに思わず笑顔になってしまった。リヤサスのストローク量はわずか2インチ(51mm)で、荒れた舗装路では衝撃が伝わってくることもあったが、状態のいい舗装路での乗り心地は予想以上によかった。試乗当日は時おり激しく雨が降る天候だったが、トラクションコントロールのおかげでスリップすることは皆無だった。
試乗車のスカウトボバーは「リミテッド」仕様で、ライディングモードの変更が可能だった。モードは「スタンダード」、「レイン」、「スポーツ」の3つに設定できる。スタンダードは基準となる設定で、スロットルレスポンスにダイレクト感があるけれど、マシン挙動はギクシャクせずスムーズな乗り味となる。パワーも必要充分以上で乗りやすい。レインはパワーが抑えられ(それでも充分パワフルだが)、スロットルレスポンスもマイルド。マシン挙動も穏やかになり、雨の日も不安なくライディングできる。扱いやすく、トルクとパワーに慣れるまではオススメのモードだ。スポーツはスロットルレスポンスがシャープで、どの回転からでも怒とうのトルクとパワーが発揮され、圧倒的な加速力を発揮して速い。Vツインらしい鼓動感が楽しめるモードだ。状況に合わせて乗り味を変えられるので、ツーリングなどのロングライドで疲労軽減にも貢献してくれるだろう。個人的には北海道ツーリングに行きたいと思うバイクだった。
スカウトボバー主要諸元
全長×全幅×全高 | 2206×930×1071mm |
ホイールベース | 1562mm |
最低地上高 | 109mm |
エンジン型式 | 水冷60°Vツイン1250cc |
ボア×ストローク | 104×73.6mm |
燃料タンク容量 | 13L |