日本政府は「交戦権(戦時法規)の主要な部分である、戦争犠牲者保護のルールを除くものである」との説明をしていますが、交戦権は国際的に共通のものであり、わが国だけが勝手に分割して解釈できるものではありません。これがいかに恐ろしいことか、立法府にいる我々はこのことを強く認識しておかねばなりません。

私も、憲法第9条第2項の改正が大きな困難を伴うことは十分に承知しており、だからこそ平成24年の自民党憲法改正草案を起草するにあたっては、安全保障基本法案の概要を示して党議決定したのです。

憲法改正には衆参それぞれの総議員の三分の二の賛成で発議し、国民投票の二分の一の賛成が必要ですが、基本法であれば定足数を満たした各議院の過半数の賛成で足りるのであり、実現へのハードルは比較的低いというべきでしょう。

この基本法に対しては、日弁連をはじめとする各界から強い批判が寄せられており、丁寧に検証する必要があるのは当然です。しかし、それなくして「公明党や野党の多くが賛成しない憲法第9条第2項の削除などは不可能なのだから、当面自衛隊明記だけでも実現すべきだ」とするのはむしろ本末転倒になりかねません。

南海トラフ地震臨時情報

昨日、南海トラフ地震の「臨時情報」が初めて発表され、住民に対してすぐに避難できる準備を求めることとなりました。お盆休みを控えて、国民生活には少なからぬ支障が生ずることになりますが、「情報」を出して後はそのまま、ということにならないよう、政府は細心の注意をもって臨んでもらいたいものです。

南海トラフの位置(赤線)。黄線の部分は駿河トラフとも呼ばれる。Wikipediaより

改めて国民の保護を主眼とした組織(防災省・国民保護省)の立ち上げの必要性を強く感じております。「国民一人一人が安心と安全を実感できる国」を目指していかなくてはなりません。日本の人口10万人当たりの自殺率は世界ワースト第6位(G7ではワースト1位)、女性はワースト3位、というのは極めて深刻な事態であり、国民の幸せの実現とはなにか、をもっと真剣に追求すべきなのではないでしょうか。