7日水曜日に自民党憲法改正実現本部の総会が岸田総裁も出席して開催され、緊急事態条項と自衛隊明記についてワーキングチームを発足させ、8月中を目途として条文化の作業に入ることで一致致しました。

名称は「自衛隊」でも「国防軍」でも敢えて拘りませんが、この「防衛省・自衛隊」は現行の法体系では国家行政組織法に規定されている行政組織そのもので、給与体系を定めた俸給表も国家公務員と同一のものとなっています。「最高の規律と最高の栄誉と待遇」という概念はここからは全く出てきません。

警察と軍隊との相違を認識している人は多くはないのですが、両者は明らかに異なるものです。国民の生命・財産と公共の秩序を国内法に則って守り、犯人を逮捕して検察に引き渡すのが警察で、国家の独立を外国勢力による侵害から守り、対外的に国際法に則って行動するのが軍隊です。

現行法上はこの相違が不分明で、「自衛隊は見た目は軍隊でも実態は警察」と言いたくなるほど、自衛隊法などの法律は警察法を下敷きに定められています。「国民の生命と財産を守る自衛隊」という言い方をする人がありますが、生命と財産を守るのは警察の仕事であって、その本質が理解されていないことはとても残念です。

第9条後段の「国の交戦権はこれを認めない」についても、「戦争を放棄した日本が戦いを交える権利を持たないのは当然だ」的な理解をされておられる方が多いのですが、交戦権はそのようなものではなく、その内容の主要な部分は「交戦国に認められている権利」であり、その権利に伴う義務も当然に生じます。

これはジュネーブ条約などに定められた、捕虜の虐待などを禁じた「戦争のルール」であり、国際社会共通のもので、日本だけが認めないなどと言ったとしてもそこには意味はありません。「国の交戦権はこれを認めない」とは「戦争のルールはこれを認めない」と言っているに等しく、国際社会の常識を大きく外れているとしか言いようがありません。