■時代を超えたカニバリズム
今日「カニバリズム」を耳目にすれば恐ろしいホラームービーや、猟奇殺人などを連想する人も多いかもしれないが、人肉食行為は多くの古代文化の重要な部分でもあった。精神的な信念、生存、戦争、または激しい憎悪の表現に根ざしているかどうかにかかわらず、人肉食行為からは人類の過去のさまざまなのっぴきならない一面を垣間見ることができる。
古代のカニバリズム文化を紹介した「Ancient Origins」の記事によればこれらの“蛮習”をあまりにも厳しく断罪しない姿勢も重要であるという。
18世紀になってもヨーロッパ人が“ミイラパウダー”を消費したり、人間の血が原材料の医薬品を服用していたことを思い出せば、人肉食に対する西洋人の見方は信じられないほど偽善的に感じられるかもしれない。またカトリックの宣教師がこれらの部族に人食い行為をやめさせ、その後にキリスト教のミサや聖体、“実体変化”の考えを彼らに紹介した際には、そこにカニバリズムのメタファーを感じ取った彼らはかなり混乱したに違いないという。
現代人にとってあり得ないタブーであり、何かと物騒でスキャンダラスなカニバリズムだが、その歴史についてはいったんは心を落ち着けて考察したいものだ。
参考:「Ancient Origins」ほか
文=仲田しんじ
提供元・TOCANA
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