【中国におけるホタテの商流】
中国のホタテの消費量は年間約160万〜200万トン、ほとんどは国産の養殖ホタテで、漁獲ホタテは極少量(他に日本からの生ホタテと貝柱の輸入が約8万トンある)。その7〜8割(120万~150万トン)は洗浄された生の状態で飲食店・水産物貿易市場・オンライン販売などを通じ、中国国内の消費者に行く。(以下、太字は筆者)
日本品を含む残り2〜3割(40~50万トン)は、ホタテ春雨、干し貝柱、ホタテスティック、ホタテハーフシェル、冷凍ホタテ貝柱などに加工され、飲食店、スーパー、オンライン販売などを通じて国内消費者に行き、一部(3〜4万トン)は貿易会社経由で輸出される。
主な輸出先は、米国、香港、台湾、韓国、日本などで、輸出先を問わず、SC認証(生産認証)、ISO9000、HACCPなどの取得が必要。また米国への輸出にはFDA認証、欧州への輸出にはBRCS認証が必要だ。中国大手水産会社は、Costcoなどの欧米スーパーへ輸出するために、養殖場から工場までの全プロセスでMSC、ASC認証を取得している。
【中国におけるホタテ輸出】
中国の加工ホタテの年次別、国/地域別輸出数量は次表の通りで、17年からの平均約3万トンから21年には3.8万トンに増加した。その約6割が冷凍ホタテ貝柱である。この数量の外に、スナック、インスタント食品などに分類されているホタテ製品があるので、実際の輸出量は更に多い。
ホタテ及び関連製品の国別輸出量 (単位:トン)
国・地域 2017 2018 2019 2020 2021 同左構成比 日本 3,849 4,488 4,035 3,759 3,488 9.2% 韓国 2,174 1,632 2471,4 2,514 4,114 10.8% 米国 7,812 9,548 5,368 4,943 10,791 28.3% カナダ 1,601 1,733 1,657 1,953 2,300 6.0% 豪州 1,994 868 1,138 984 1,131 3.0% 香港 4,093 4,268 4,253 4,087 4,726 12.4% 台湾 3,880 3,315 4,684 3,498 3,766 9.9% 小計 25,403 25,851 21,134 21,737 30,314 79.6% その他 5,037 5,326 9,339 5,484 7,761 20.4% 総輸出量 30,440 31,178 30,473 27,221 38,075 100.0%(出所)税関統計データ等よりみずほリサーチ&テクノロジーズ作成
注:HS Code:3072190、3072200、3072900、16055200
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以上の通り、年間約200万トンもある中国のホタテ消費量は、ほとんどが国内の養殖ホタテで賄われており、日本からの輸出8万トンは僅か4%に過ぎない。だから中国は全面禁輸したのであり、ことホタテに限れば日本からの8万トンがなくても、中国は痛くも痒くもないのである。