当社は分散化を推進するために、監視・把握しない「ZK(ゼロ知識証明)技術」を活用しています。「zkPass」などのZK技術のおかげで情報の所有権を大企業にわたすことなく、特定個人の人生をサンプリングすることができます。

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――量子コンピューターはともかく生成AIは消費エネルギーが大きいと思いますが、環境への配慮と両立しますか?
Gregory:生成AIは確かにそうですね。現在の生成AIは機械学習に基づくもの。NVIDIAやOpenAIがベースにしている古いモデルは、「人間中心」ではありません。人間から情報を集めたものです。生成AIは人間に与えられた既存・過去の情報を材料にして、模倣と複製を行っているに過ぎません。

これまでのモデルは、集約的なデータに依拠して将来のトレンドなどを予測分析するデータ駆動型です。生成AIの大規模モデルが学習するには、大量のデータが必要ですよね。当社は個人のデータを所有しません。また、当社の機械学習モデルが行うのは、環境保護の観点から正しい行動を予測・推奨することのみです。レプリカではなく、「これが最善策です。これに沿って行動することで、環境保護に貢献できますよ」という助言を提供します。

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たとえば「明日は晴れるので、携帯電話の充電は夜間ではなくコストが低い昼間に行いましょう」のように、再生エネルギー比率の高い日中の電気利用を推奨し、炭素税などが上乗せされて割高になる夜間の電力消費回避を提案できます。当社のシステムでは、「環境に配慮した行動」に報酬が発生するだけで、「環境に配慮しない行動」に炭素税のようなペナルティを課すことはありませんよ。

現時点で問題があるとしたら、こうした電力消費のピークカットやピークシフトですね。生成AIモデルが機械学習に用いるデータは過去の古い情報です。日々更新されるリアルタイムデータではありません。過去のデータを参考にする生成AIには、環境に対して良い/悪い影響を与える行動について効果的なアドバイスは無理でしょうね。古い情報に基づく助言では、人々はライフスタイルを変えません。