先月7月に京都で開催された「IVS2024 KYOTO」。期間中、Web3(分散型)SNSアプリのフィンランド企業PhaverがWeb3をテーマにしたサイドイベントを開催した。このとき共同開催者を務めたエストニアのEaaS.Globalは、ユーザーがカーボンマイクロオフセットを追跡し、それを収益化するアプリの開発に取り組む。
ここ最近、カーボンオフセット市場の正当性や透明性をブロックチェーンなどの分散型技術で担保するというトレンドが広がっているのだ。なかでもEaaS.Globalが本社を置くエストニアは同分野で注目を集めつつある国。Solid WorldはMaster Cardを含むパートナー企業を有し、Carbontribeには東京電力と中央電力の合弁会社CGCも出資している。
誕生間もないこの市場で、さらなる信頼性と有効性の実現に必要となるのが法的枠組みだが、Eaas.Globalはその点で競合の一歩先を行く存在だ。同社CEOのGregory Krzeszkowski氏が、京都でのイベント後の帰国当日に、Techable運営元・PR TIMESのオフィスを訪れてくれた。
企業などが行う大規模な「カーボンオフセット」に対し、より小規模かつ個人レベルで実行できる「カーボンマイクロオフセット」は、日常的な活動を通じてCO2排出量を相殺する取り組みのこと。
「Web3×カーボンクレジット」+法的枠組みで一歩先を行くEaaS.Global
EaaS.Globalは2020年設立のデータカンパニー。2021年に1週間で110万ドルを調達し、これまでの自己資金調達額は100万ドル以上。現在の従業員は約40人で、EU27か国、アジアでは日本・中国・韓国で事業を展開している。同社のカーボンクレジットアプリのクローズドベータ版には、2000人のテスターが参加した。
ところで、当社が来客にお出しする飲料水はペットボトル入りである。日本のペットボトルリサイクル率は高いとはいえ、「環境に配慮したハイテク企業」のCEOに差し出していいものかどうか、若干の懸念があった。しかし、水の前に名刺を出した時点でGregoryさんから「私は名刺を持っていないんです、木を守らないと」と言われてしまう事態に。