チャート:学歴別の失業率

NFP24jul_eur (出所:Street Insights)

チャート:大卒以上は労働参加率が低下も、大学院卒は失業率が上昇

NFP24jul_eee (出所:Street Insights)

--今回の雇用統計の詳細のポイントは、以下の通り。

①NFPの増加の業種別では、夏季休暇に入り裁量的支出と関連の深い娯楽・宿泊の伸び拡大、そこに含まれる食品サービスも増加。また、政府の雇用も引き続きNFPを下支え。

②平均時給は、13業種別では全米平均を上回ったのは7業種で、前月の速報値ベースの11業種を下回る。

③働き盛りとされる25~54歳と25~23最の男性、及び白人の25~54歳の労働参加率はリーマン・ショック後まもない2009~10年以来の高水準。

④男女別の労働参加率と失業率はそろって上昇、失業率はそれぞれ2021年10~11月以来の高水準。

⑤人種別での失業率は上昇が優勢で、特にヒスパニック系は労働参加率が低下したにもかかわらず上昇。

⑥学歴別では、労働参加率が低下するなかで大学院卒で失業率が上昇。

ーー全体的に労働市場の調整を色濃く反映した内容となりました。特に働き盛りの男性の労働参加率が2009~2010年以来の水準へ回復した一方で失業率が上昇しており、企業は大量解雇に踏み切らない一方で、明らかに採用活動を縮小している実態が浮かび上がります。失業率が夏場に上昇する傾向を今年もたどったことになりますが、今後もこうした流れが続くのか。7月FOMCでは、パウエルFRB議長が9月利下げ開始の可能性に言及しましたが、8月22-24日のジャクソン・ホール会合で新たなヒントを届けるか待たれます。シカゴ連銀総裁は米7月雇用統計後に単月のデータに過剰反応したくないと発言したのは、市場で高まる0.5%利下げで米景気後退のリスクを印象付けたくないのでしょう。

編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2024年8月4日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。