米7月雇用統計は、こちらで紹介しましたように、Fedに0.5%利下げを催促させる惨澹たる結果となりました。特に失業率は4.3%と、1月の3.7%から0.6ポイントも急伸。1960年以降のアノマリーに基づけば、米大統領選イヤーで、失業率が1月の水準から0.5ポイント上回れば、現職あるいは与党候補が必ず敗北してきました。従って、民主党大統領候補であるハリス氏にとって逆風となります。

トランプ氏とハリス副大統領 両氏インスタグラムより

チャート:1960年以降、失業率が1月時点から0.5pt以上の上昇なら現職or与党の候補が敗北

NFP24jul_p (出所:Street Insights)

非農業部門就労者(NFP)での業種別の動向をみると、裁量的支出動向を示す娯楽・宿泊は前月比2.3万人増と3カ月連続で増加しつつ、2023年平均の4.7万人増を下回りました。そこに含まれる食品サービスも前月の横ばいから、今回は2.0万人増と、増加に反転。2023年平均の2.6万人増より弱い結果となっています。夏季休暇を受けた雇用の回復と言えるでしょう。また、政府は7月に同1.7万人増と前月の伸び以下ながら、引き続きNFPを下支えしました。

チャート:娯楽・宿泊と食品サービス、政府の雇用の伸び

NFP24jul_nfp_g_r (出所:Street Insights)

筆者がもうひとつ、注目する業種が専門サービスに含まれる派遣です。派遣は、労働市場の先行指標とされ、景気後退前に減少トレンドをたどる傾向があります。7月の結果を見ると、前月比0.9万人減と、今年1月を除き2022年4月以降のマイナストレンドを維持。マイナス基調をたどりながらも景気後退に陥っていないのは、ウーバーのドライバーを含め個人事業主の増加が一因と考えられます。

チャート:派遣、今年1月を除き2022年4月以降のマイナストレンドを維持

NFP24jul_temp (出所:Street Insights)

そのほか、業種別や性別や人種、学歴などではどうなったのか、詳細は以下の通り。