Vストローム250SXの油冷エンジンはジクサー250をベースとしているが、エアクリーナーを見直すことで低中速トルクが向上している。実際に市街地を走行してみると、トルクは太いというより粘るように感じた。スロットルを大きく開けても押し出されるような加速力は感じないものの、スロットルを閉じてエンジン回転が下がった時でもパスンと急にエンストするような兆候は皆無だった。ゴー&ストップの多い市街地走行では低回転域を多用するが、そうした際にVストローム250SXは不意にエンストしにくく、バランスを崩す不安も少ない。

押し出されるような加速力は感じなかったものの、250らしい加速力を発揮し、交通の流れをリードすることも充分可能だ。さらに前後ディスクブレーキはジクサー250より大径化され、制動力も不満のない仕上がりとなっている。また、大径化された前輪と延長されたホイールベースもあって、ハンドルは振られにくく、高い直進安定性も発揮。アップライトなライディングポジションは見晴らしもよく、市街地ではストレスのない軽快な走りだった。

大径ホイールは直進安定性に貢献しているが、押し引きの際や左折など徐行時のハンドル操作には粘りがあり、立ち(直立性)の強さも感じた。大径ホイールを装着しているオフロードバイクでの走行経験のあるライダーなら、この立ちの強さも予想できるだろうが、17インチホイールのシャープなハンドリングに慣れたライダーには、少しダルく感じるかもしれない。ただし、ハンドリングの粘りは極低速時だけで、小走り程度のスピードが出ていれば軽快でスムーズな操作性となる。

燃焼室回りに潤滑とは独立した回路(オイルジャケット)を設け、オイルクーラーで冷やしたオイルを直接オイルジャケットに速い速度で通すSOCS(Suzuki Oil Cooling System)を採用した、スズキ独自の油冷SEPエンジン。SEPはSUZUKI ECO PERFORMANCEの略称で、パワフルな走りと環境性能を両立したエンジンの総称。高い冷却効果を発揮するので、冷却フィンは装備されない。スチール製エンジンアンダーカウルを標準装備。
オイルクーラーには電動ファンを搭載。渋滞時などの無風状態で放熱性をサポートし、油温を適切にコントロールする。エンジンオイルが冷却液の役目も兼ねるので、ラジエターと冷却液が不要となる。
ハンドル左側のスイッチはヘッドランプのハイ/ロー切り替え、ウインカー、ホーン。奥に見える黄色いパーツはパッシング。
ハンドル右側はキルスイッチと、スズキイージースタートシステムを装備したスタータースイッチ。
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