ラフロード走行に対応するため最低地上高が高められたVストローム250SXは、シート高も800→835mmへと高くなっている。ライダーは身長172cm、体重62kgで、片足を着いた時も両足を着いた時も、カカトが少し浮いた状態となる。けれど、車体の重心位置が低く、停止時に安定感があるので、片足つま先立ちでも不安を感じることはなかった。むしろ、ヒザの曲がりに窮屈さがなく、リラックスした姿勢でライディングできるポジションが自然と決まるメリットのほうが大きいと感じた。

シート前方をジクサー250よりもスリム化することで足を着きやすくしている。その一方でシート後方の座面は広く、クッション素材のボリュームもあるので、ツーリング時の疲労を軽減する。今回は丸一日ライディングしたが、お尻の痛みは驚くほど少なかった。
足着き性を考慮したシート形状のおかげで、お尻を少しズラすだけで、片足をベッタリ着けるようになる。重心位置が低く、車体を直立させても安定感があるので、お尻をズラしてもバランスが崩れにくい。それでも足着き性に不安を感じるなら、着座面が25mm低くなる「ローシート」が純正アクセサリーとして用意されている。

操作系が軽く、市街地での走りは軽快

エンジンを始動するにはクラッチレバーを握ってスターターボタンを押すのだが、そのクラッチレバーの軽い操作性がまず好印象だった。そしてスターターボタンをワンプッシュすれば一定時間スターターモーターが回転し、エンジンは始動する(エンジンが始動するとスターターモーターは止まるスズキイージースタートシステム)。ギヤを1速に入れて、アイドリングから少しスロットルを開けてクラッチをつないでいくと、スルスルと前進していく。スロットル操作も軽く、エンジン回転の上昇に合わせて車体も加速していくが、そのスロットル操作と加速がスムーズなので、車重を感じず、車体の挙動が軽快に感じられるのだ。