■ ケース3:突然の破水で胎児が危険!緊急手術……のはずが
いつ生まれてもおかしくないという臨月のCさん(23)は、初めての出産に向けてせっせと支度中。その日はベビーカーの梱包を解いて玄関の決めた場所に置こうと頑張っていました。
ダンボール箱を持ち上げたCさん、「バシャッ」という感触とともに股から液体がとめどなく流れてくる状態にパニックに!慌ててかかりつけの産婦人科に電話したら「すぐにタクシー呼んで来院してください!帝王切開になるかもしれないから」と言われ、慌ててタクシーを呼び、病院へ。
そのまま保険証セットと準備してあった入院セットだけ持ってすぐに病院に行ったものの、Cさんは重大な過ちを犯してしまいました。それは、タクシーの車内で自宅にあったパンを食べてしまったこと。丁度お昼前ということもあり、大好きな総菜パンを用意していたのでした。
「ご飯食べないでそのまま来てください」と言われたので慌てちゃって車内でパン食べちゃった、とCさん。帝王切開になれば長丁場になるかもしれないし、腹ごしらえしないと、と。違う、そうじゃない……。
ご飯を食べないでというのは「悠長に食べてる暇はないから」ではなく、「胃に食べ物を入れないで来て欲しかった」という意味だったのです。
これはスタッフ側にも説明不足の落ち度があったと言われればそれまでの話ですが、電話口で慌てている人についつられてしまうこともあるでしょう。スタッフ側に求められるのは、常に冷静であることと正確で分かりやすい説明をすること。
幸い、Cさんは全身麻酔をせずに腰痛麻酔のみで帝王切開を行うことができ、事なきを得ました。
■ 医療スタッフも患者も家族も正しく理解と説明を
このケースは実際に筆者が見聞きした話をもとにフィクションを交えて書いたものですが、結構あるんですよこういうの。
医療スタッフはなぜ検査や手術前に飲んだり食べたりしてはいけないかを正しく理解しないと患者さんに正しい説明ができません。また、患者さんの理解度が不足している場合は付きそう家族にも説明と理解を求める必要があります。
緊急度が高い時ほど慌ててしまいがちですが、患者さんは大事なことだけは守るように、医療スタッフは絶飲食を守れるように落ち着いて、冷静に、分かりやすく説明を繰り返すことが大事ですね。
医療監修:井口光孝医師(日本内科学会総合内科専門医)
イラスト:看護roo 看護師イラスト集
提供元・おたくま経済新聞
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