更に深刻なのは、こうした状況を見て、若い優秀層が、政治を目指さなくなり、また、政治家を支えて政策立案をしたり実現をしたりする公務員(官僚や地方公務員)を目指さなくなっていることである。もちろん、上記のような「政治祭り・PR合戦現象」だけが原因ではないが、この点も無視できない影響を持ち始めている。自分が支えたいとか仕えたいと思わない人のところで働きたいとは普通は思わない。

人材育成という最後の希望

そんな中、つい先日、千葉県印西市の市長選が行われた。青山社中リーダー塾出身で、青山社中での勤務経験を持つ29歳と39歳の候補者が激突した。私は、塾頭として、また、元雇用主として、両者の陣営の応援にかけつけたが、強調したのは、二人とも「選挙後の政策実現」を必死に考える候補者であり、また、市長をステップに国政に行くといった志望もなく、その地(印西)のために骨を埋める覚悟をもった候補者だということだ。

上述のとおり、現代の選挙では構造的に「悪しきPR合戦」「相手との差別化/誹謗中傷」そして、「そこから生まれる分断」がセットでついて来てしまうものだが、上記の塾生同士は、闘いながらも協力をうたい合っていた。どちらが勝っても分断ではなく、建設的な街づくりをしていこうと。

結果39歳の藤代健吾氏が見事当選を果たしたが、今後ともこうした人材育成に塾や事業を通じて務めてまいりたいと感じた次第だ。

地位を追い求めること、世間に訴求しやすいようにポジションを獲得すること以上に、人間にとって大事なことは「何をするか」である。地位がないと輝けない、ということではなく、どんな場所でも想像力・創造力を発揮していい仕事が出来る、虚栄心より野心(目立って“ちやほや”されることより、何を為すかということに注力する)という人材をこれからも輩出していきたい。

本当に大事なのは選挙までではなく、選挙後に、宴の後に、何をどう実現していくか、なのだと思う。