<ゲームの価格を上げたり半永久的にゲーム実況を禁止せざるを得なくなります>

 ゲーム実況をめぐっては、これまでも制作サイドからさまざまな見解が示され、議論を呼んできた。たとえばゲーム開発会社「あまた」社長でソニー・インタラクティブエンタテインメント元ディレクターの高橋宏典氏は昨年4月、X上に次のように投稿していた。

<YoutubeとTwitchは、今の技術的には何のゲームを配信しているのか検知可能なのだから、ゲーム開発者にも動画再生などから得られる収益を分配するべきだと思う。音楽業界ではできている(やっている)のにゲーム業界に対してやってないのは開発者に対して還元する気がないということなのでちとモヤる>

<動画だけで消費されてしまうタイプのゲーム(アドベンチャーゲームなど)は宣伝効果と機会損失のバランスの判断が難しい。一歩間違うと、機会損失の方が大きいタイプのゲームはあまり作られなくなってしまい多様性を失う可能性もある。プレイヤー側ももう少し真面目にこの問題を考えた方がいいと思う>

<もちろんゲーム動画の隆盛は時代の変化なので、ゲーム開発者側の生存戦略として、その変化に応じて最適化したゲームを作っていくことも当然にやるつもり。ただ、ゲームの多様性が失われる可能性が高い今の収益分配構造を放置しておくと、いちプレイヤーとしてはあんまり楽しい未来が想像できない>

 そして今月にはゲームクリエイター・飯島多紀哉氏は、一部のルールを守らないゲーム実況配信者の振る舞いをめぐり、次のように投稿した。

<発売したばかりのノベル系アドベンチャーゲームを発売初日から数種類のエンディングまで数時間を、とある方に実況されました。もちろん実況は禁止しています。ノベル系のゲームはネタバレが命取りです>

<switchで発売した『アパシー鳴神学園七不思議』というゲームがヒットし廉価版迄発売されるため、そのお礼も込めて新作をsteamで期間限定990円で発売しました。が、この結果です。Youtubeは原作者が通報するとすぐに削除してくださるのですがTwitchは対応してもらえません。まったくの野放しです>

<投稿された実況内容うんぬんよりも、その行為に僕は残念でなりません。これでも原作者は涙を呑んで耐えなければならないのでしょうか。これからも、新作を発売するたびに誰かがネタバレ上等実況をあげていくんですかねえ。ゲーム制作者はそれほど弱い存在なのでしょうか>

<ゲーム実況のルールを守らない方がいるので僕は本当に悲しいです。こうやって作り手の気持ちを無視して喜んでいる方々に触れると、ゲームの価格を上げたり半永久的にゲーム実況を禁止せざるを得なくなります。それでゲームが売れないというのであれば仕方ないことですね。ゲーム実況、どうしよう?>

 そして飯島氏は動画投稿者に対して法的措置を取ることを検討しているとして、以下のように綴っている。

<裁判はします。他のクリエイターがこのような事態に巻き込まれないためにも。一言の謝罪もなく逃げている件の輩を許すのはゲーム業界のためにもならないと思いますので>

<私がなぜそこまで徹底的にするかというと、これからのクリエイターの卵たちを守りたいからです。この方が二度と私に対してこのようなことをしなかったとしても、他の小さくて弱い獲物を探すでしょう。逆らえないような生まれたてのクリエイターが、こういった不届き物の毒牙に掛かってはいけません。

<だから、徹底的に潰します。今回、被害が最小限で済んだのは、私のファンの方々だけでなくネットでこの話を聞きつけた方々が迅速に動いてくださったからです。皆さんも楽しく面白いゲーム実況に触れたいのだと思います。制作者を苦しめる輩を野放しにして新たな才能が摘まれることは嫌なはずです>