■勝手に作られたジンクスのせいで…

観光地に置かれた大量のお金、その理由にギョッとした 観光客の「謎ルール」が招いた結果は…
(画像=『Sirabee』より引用)

突然金銭が置かれるようになった事態について、日向市は「置かれているだけのお金は遺失物との判断もできるので取り扱いに苦慮し、警察に相談しました」と振り返る。

観光地に置かれた大量のお金、その理由にギョッとした 観光客の「謎ルール」が招いた結果は…
(画像=『Sirabee』より引用)

そして、2017年より「願いが叶うクルスの鐘」台座、および鐘を鳴らす際の足下の目に付く場所に件のプレートを設置することに。「おかないで」と書かれた場所にわざわざ置かれている…ということで、改めて「意図があり置かれた金銭」(遺失物でない)であると認識されるようになったのだ。

寄付金として受け入れるための使用目的を明示したワケだが、担当者は「プレート設置により(金銭の)置かれる頻度が少なくなったり、反対に施設整備のための寄付が増えたということは特段無いようです」と、現状を説明する。

観光地に置かれた大量のお金、その理由にギョッとした 観光客の「謎ルール」が招いた結果は…
(画像=『Sirabee』より引用)

そして「プレート設置後もお金が置かれることはあり、置かれている状況を見た方がさらにお金を置いていく状況となるので回収頻度を増やしたいのですが、一度の回収で100円に満たない程度の金額である一方、現地は市役所から遠く、燃料費・人件費が寄付金額を上回るため、頻繁には回収できない現状です」と、市が抱えるジレンマを語ってくれたのだ。

プレートの今後の方針について、担当者は「今後もお金が置かれることがあった場合のため、使用目的の明示はしなければなりません」と前置き。

その上で「置かれる金額的に、より活用しやすいよう、『観光施設の整備や維持管理の費用』という文言を『観光推進の目的』へと変更させていただきます。ただし寄付を目的としたプレート設置でないことをご理解頂きますよう、お願いいたします」とのコメントを寄せてくれたのだ。

本ケースが市のジレンマを生んだ要因は、大きく2点あると考える。即ち、観光客が「観光地に金銭を置く」というルールを勝手に作り出した点と、その金額である。

実際、日向市の担当者も「話題になったことで寄付が増えますと、人目につかない場所であることから盗難の可能性があります。ですがカメラの設置等は難しく、回収も頻繁にできないため、お金を置くことはご遠慮頂くとありがたいと考えております」「プレートでなく募金箱等を設置することはより高額が貯まる恐れがあり、前述の理由から予定はしておりません。寄付につきましては管理面において適切な対応が困難であることから、ご遠慮頂きますようお願いいたします」と説明していたのだ。

一方、今回のポストで「クルスの海」をはじめとする観光施設の設備や維持管理の費用に注目が集まった件はポジティブにも捉えているようで、担当者は「話題のXポスをと確認のうえ、皆様のお気持ちは大変ありがたく受け止めております。この機会にぜひ日向市にお越し頂き、楽しんで頂ければ幸いです」とのコメントも得られた。

観光地に置かれた大量のお金、その理由にギョッとした 観光客の「謎ルール」が招いた結果は…
(画像=『Sirabee』より引用)

観光地にて「ご利益がありそうだから」「せっかくの記念だから」といった理由で、一風変わった願掛けが行われるケースは決して珍しくない。だが、それが「観光客の勝手に考えたジンクス」であった場合の後始末は、施設の管理者が被ることになる点を肝に銘じておきたい。