彼は終生気づかなかったようだが、こんな風に分析すれば、この曲のR&Rは解き明かせる。

イントロから説明していこう。シーケンス①から。

4拍基本のところに、半拍3、3、2の↗が繰り返されている。

そこにこんなシーケンス②が重なりだす。

やはり4拍基本に、半拍3:3:2の音型が繰り返される。

ただ、よくご覧いただきたい。途中で音が抜けている。(紫の□で括った部分)

この空白は、喩(たと)えるならば、天井の板が外されている部分だ。

ここからボールが空にとび上がり、やがて引力で地面に戻ってきて、余力で跳ね上がる。

「4」という偶数の大枠を、奇数「3」で揺さぶりつつ、「2」で偶数枠に戻ってくる。

ドラムスが重なりだす。(シーケンス③)

これも「2」「3」「2」「3」… すなわち「偶数」「奇数」の反復だ。

主旋律が現れる。(シーケンス④)

「4」(偶数)が基本のなかに「3」(奇数)が混じるよう、デザインされている。

これら四つのシーケンスを、同時に奏でると、どうなるか?

偶数「4」の統べる、四層の重箱のなかを、奇数「3」が、各シーケンス(層)で違う風にとび跳ねていく様が、よくわかる。