2024年上半期から、新紙幣が導入される予定だ。しかし新紙幣の導入にともない、新紙幣に対応したATMや自動販売機の購入・改修が必要になったり、国民のタンス預金にメスが入ったりするので「悪影響ばかり」という意見も多い。
では、本当にそうなのだろうか?今回は、2024年から発行される新紙幣とはどのようなものか、私たちの生活に悪影響はあるのか考えてみたい。
新紙幣はいつ発行される?
新紙幣が発行されるのは、2024年の上半期の予定だ。なお、新紙幣発行後もこれまでの紙幣は使用できる。
どんな紙幣か?
財務省は、2024年から新たに発行される千円、五千円、一万円紙幣の製造は、偽造防止を主な目的として以下の要領で製造すると発表している。
【新たな偽造防止対策等】
・より高精細のすき入れ(透かし)
・最先端技術のホログラム
【ユニバーサルデザイン(紙幣間の識別性向上等)】
・指の感触で紙幣の違いを識別できるよう、紙幣ごとにマークの形状や位置を変更
・ホログラムやすき入れの位置を紙幣ごとに変更
・紙幣に表記される数値の大型化
新紙幣の発行にはどんなよいことがある?
上述した通り、新紙幣の発行には、新たな偽造防止対策を施すことでより安心して使用できる紙幣を提供するという目的がある。
その一方で、「タンス預金をあぶり出す」「新紙幣発行にともなう設備機器の導入で経済の活性化を図る」といった目的もあるのではないかといわれている。
新紙幣の導入によって年月が経てば、いずれ旧紙幣の使い勝手は悪くなっていく。そのためタンス預金で旧紙幣を保管している人は、いずれ新紙幣に交換するか、使用するようになる。現金で保管して納税回避をしている人がいたとしたら、それもあぶり出せるというわけだ。
またATMや自動販売機を新紙幣に対応するために、新たに機器を購入したり改修したりしなければならない。
第一生命経済研究所の調査によると、新紙幣の製造コストは約6,100億円(2021年10月に発行された500円玉の製造コストも含む)、ATM買い換えにともなう直接波及効果は約3,700億円、自動販売機の改良にともなう需要は約6,000億円といわれている。
さらにこうした直接効果の他、誘発される付加価値などを加味すれば、直近2年間の経済成長率を0.1%程度押し上げられるのではないかという試算もある。
悪いことだらけになってしまうことも?
ATMなどの機器導入でコスト増となる企業は、そうしたコスト増を補うために、銀行の手数料や商品コストを上げる可能性もゼロとはいえない。
また、こうしたコスト増を嫌った企業は、ATM導入をためらい、キャッシュレス化の機器導入に傾くかもしれない。
これでは新紙幣は流通せず、まったく矛盾した結果を招くことになりかねない。そうなると、新紙幣導入は本当に悪いことだらけ…になってしまう。
前向きに考えるのもアリ
もっとも「渋沢栄一」については、ドラマ化されるなど少なからず経済効果をもたらしているだろう。また風水でも新札にはパワーがあり、財布に入れておけば多くのお金を呼び込んでくれるともいわれている。
ここは前向きに考えて、改めてお金と向き合う機会にしてみてはいかがだろうか?
文・金子賢司(ファイナンシャル・プランナー)
立教大学法学部卒業後、東証一部上場企業に入社。その後、保険業界に転身し、ファイナンシャル・プランナー(FP)として活動を開始。FPの最上級資格CFP資格を取得し、個人・法人のお金に関する相談を受けながら、北海道のテレビ番組のコメンテーターなどとしても活動している。
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