■欧州やアフリカでも警戒
ヨーロッパ最大級のユダヤ教、イスラム教コミュニティのあるフランスでは、昨年の10月13日、北部のアラスで高校教師がチェチェン系のイスラム教徒である卒業生に刺殺された。容疑者はイスラム過激派と関係があった。
また、ルーブル美術館やヴェルサイユ宮殿が、爆破予告を受けて、入館禁止措置をとった。さらに、パリのターミナル駅「リヨン駅」でも不審物が発見された。
ロシアでのテロ直後、3月25日には、マクロン大統領は、ISがフランス国内でもこの数ヶ月テロを企てていたことを明らかにした。夏にはパリ五輪も開催されるため、フランス全土で警戒レベルを最高水準に引き上げた。
ドイツやイギリスなど他の欧州諸国でもテロへの警戒態勢が強化されている。
また、アフリカでも北部サハラ砂漠の南の半乾燥地域(サヘル)にあるマリ、ブルキナファソ、ニジェール、ナイジェリア、チャド、スーダンなどで、ISが活動し、新型コロナウイルス流行で職を失った若者をリクルートして、勢力を拡大してきた。そのために治安が悪化し、国民の不満が高まり、過激派のテロへの対応を失敗した民主派政権が軍部によってクーデターで追放されている。
日本は地理的にも、宗教的にもISの標的になるリスクは少ないが、テロへの警戒を怠ってはならない。