■伝説の真相
それにしても、なぜエルジェーベトはこのような凶行に及んだのか? 伝説によれば、若い女中を折檻中、その血が彼女の手の甲に飛び散った。血を拭き取ると、その肌が非常に美しくなったように見え、自分の若さと美貌を保つために処女の生き血を求めるようになったのだという。そして同時に、不潔な百姓娘ではなく、貴族の娘の血を欲するようになったのだとも。
伝承によれば、エルジェーベトは内側に棘の付いた穴あきの樽に女中を閉じ込め、空中に吊り上げてぶんぶん振り回し、その下で血のシャワーを浴びたという。とりわけ有名なのは「鉄の処女」にまつわる話だろう。鉄の処女とは内側に棘の突き出た空洞の人形型の拷問具で、扉を開けて中に犠牲者を放り込み、再び扉を閉めると全身が串刺しになるという代物である。鉄の処女で搾り取った生き血をバスタブに満たし、そこに身を浸したとされる。