各種操作を行うマルチコントローラーが超便利!

ここまで各種モードの設定についてご紹介しましたが、こうした操作を簡単におこなうための装備が左グリップに取り付けられたマルチコントローラーです。

BMWモトラッドのモデルの多くで採用するホイール状のマルチコントローラー。左右のスイッチボックスには「必要最小限のショートカット」としてMENUやMODE、グリップヒーターの物理スイッチが設けられていますが、それ以外の細かな設定や情報の閲覧操作は、基本的にマルチコントローラーでおこないます。マルチコントローラーのホイールは左右への軽いクリック、そしてホイールの前後回転によって各種メニューを行き来したり、選択した項目の決定をおこないます。

高機能なバイクの中にはスイッチボックスに多くのボタンを増設する場合もありますが、ボタン配列や位置によっては、走行中の操作が難しかったり、スイッチへの目視が必要だったりすることもあります。しかし、BMWモトラッドは物理スイッチの増設を極力避けて、基本的な操作をマルチコントローラーでおこなうことで、直感的かつ安全・確実な操作を実現しているのです。

このマルチコントローラーであれば、親指の長さに関係なく、そしてグリップを握り返すことなく各種機能の操作が可能。F 900 Rが搭載する独創的な機構のコントローラーは、人間工学(エルゴノミクス)に基づいた設計を信条とするBMWの哲学を象徴する部分と言えるでしょう。

ブレーキは最新のABS Pro

いまでは当たり前の装備となったABS(アンチロック・ブレーキ・システム)。そもそも、バイクの量産市販車で世界で初めてABSを実用化したのはBMWモトラッドなのです。1980年代にBMW Kシリーズで初めてオプションとして採用されて以降、BMWの主要モデルではABSを一貫して採用。言うなれば、BMWのABSは二輪界で最も歴史のあるシステムなのです。

その進化はいまも急速に進んでいて、F 900 Rではコーナーリングの際に車体がバンクしていても安全に作動するABS Proを搭載しています。車速や加速度、車体の傾きなど、さまざまな情報を常にセンサーで取得して瞬時に演算を行う高度なシステムを利用することで、以前では考えられなかったようなABSのシステムが実用化されているのです。

滑りやすい路面でも、車体がバンクしていても、どんな状況でも安心してフルブレーキができること。これは、何よりもライダーの安全を第一に考えてきたBMWの理念の象徴ともいえるでしょう。

BMWを手に入れる……それは世界最高峰の安全技術を手に入れることに等しいのです。