ベテルギウスはもう爆発しているかもしれない

オリオン座の一等星、ベテルギウス。2019年には突然薄暗くなり、もしかすると爆発が間近なのではないかという憶測を呼びました。しかし、ベテルギウスは結局明るさを回復し、一時的に暗くなった現象は直接的には超新星爆発とは関係ない可能性が高いことが示されました。

ベテルギウスの年齢はおよそ800万歳で、一生の終わりに近づいているのは確かであり、超新星爆発が迫っているのは間違いないと考えられています。しかし、それがどれぐらい近い未来なのかは分かっていません。定説では我々が生きている間には爆発しないとする説が有力なのですが、一方では超新星爆発につながるコアの崩壊が、数十年以内に起こると予想している論文もあり、天文ファンの興味をひいています。

もし超新星爆発が起きると、マイナス12等級ぐらいまで明るくなるといわれています。太陽よりは暗いですが、その明るさは昼でも空に見えるほどです。そして夜間にはさらにみごとな光景になるのではと想像されます。

地球との距離は640光年ほどなので、ひょっとして室町時代に爆発していたら、地球で観測されるのはそろそろなのかもしれません。

ヘリウムの名前の由来は太陽

風船や気球、あるいは声が高くなるパーティーグッズに使われることでも知られる元素のヘリウム。水素に次ぐ原子番号2番、すなわち2番目に軽い元素です。

ところが、このヘリウム、希ガスという元素のグループの仲間で、ほかの元素とほとんど反応しません。反応しない元素というのは存在を確認するのも大変です。そのため、地上でその存在が認められる前に地球外で発見されました。その発見に役割を果たしたのが太陽です。

フランスの天文学者ジャンサンとイギリスのロッキャーは、1868年の皆既日食のとき、太陽のスペクトル線を解析し、当時知られていたどの元素にも当たらない未知の元素が存在すると考えました。彼らはこれを太陽固有の元素であると考え、ギリシャ語で太陽を表すヘリオスにちなんでヘリウムと名付けました。27年後に、ドイツの化学者がクレーベ石と呼ばれる鉱石に硫酸を作用させることで、地球上でヘリウムを分離することに成功しました。

今日ではヘリウムは身近な元素であるとともに、低温工学の研究にも欠かせない物質となっています。そのような物質が、地球よりも先に宇宙で発見されたというのは、ちょっと意外な気がしますね。