葛飾北斎や松尾芭蕉は、水星のクレーターの名前になっている

太陽系でもっとも内側を回る惑星・水星。その地表には多数のクレーターがあります。これらは水星ができたあとに、たくさんの小さな天体が衝突してできたものです。

ユニークなのは、水星のクレーターの多くには、芸術家の名前がつけられているということです。その中には葛飾北斎にちなむ「ホクサイ」、松尾芭蕉にちなむ「バショウ」など日本人の名前がついたものもいくつもあります。

どんどん挙げていきましょう。まずは作家。ソウセキ、アクタガワ、フタバテイと、明治の文豪が揃っています。紫式部にちなんだムラサキというのもあります。それ以外の分野の芸術家では、ゼアミにリキュウ、ウンケイなどもあります。「セイ」「ヤマダ」など誰が由来か分かりにくいものもあります。これはそれぞれ、清少納言と作曲家の山田耕筰にちなみます。

水星の英語名マーキュリーの由来となったローマ神話のメルクリウスは芸術の神様でもあるのですが、その名にふさわしく、水星は多数の芸術家を抱えているわけですね。

金星は硫酸に覆われた過酷な星

ローマ神話の愛の女神に由来する「ビーナス」という美しい英語名を持つ金星。明るく輝く星ですが、その環境は非常に過酷なものです。金星が明るく輝いて見えるのは、硫酸でできた雲に覆われており、太陽の光をよく反射するためです。硫酸は理科の授業でも登場しますが、何でも溶かしてしまい、取り扱いが注意な物質。そのため、仮に金星に行くとすれば、硫酸の雨から身を守ることのできる宇宙船が必要となります。

さらに、猛烈な台風よりも強い風が吹きつづけているので、地表に到達するには困難を極めます。地面におり立つことができたとしても、気圧は地球の90倍あります。加えて、金星は太陽系でもっとも熱い惑星であり、その表面温度は465℃にもなります。これは、金星の大気の96%が二酸化炭素で構成されており、温室効果でどんどん熱くなってしまうためです。

このように美しい金星は実際は地獄のような過酷な環境の星。遠くの地球から眺めるだけで良さそう、と思いきや、NASAはこんな星にも探査機を送りこもうと開発を進めているそうです。