■ 各地方の“ガイナックス”冠する企業は「ガイナックス社と別法人」
カラー社のリリースには、さらに気になる記述がありました。ガイナックス社の元関係者たちが全国各地に創業した「ガイナックス」あるいは「ガイナ」を冠した会社についてです。
加えて「ガイナックス社」とは、「株式会社ガイナ(スタジオガイナ)」および「福島ガイナ」(以上いずれも、旧「福島ガイナックス」)、「ガイナックスインターナショナル(GAINAX International)」「GAINAX京都」「米子ガイナックス」「株式会社ガイナックス新潟」「GAINAX WEST」などの、類似社とは別の法人であり、弊社と上記類似会社との間での商標使用許諾契約は行われておりません。
(カラー社6月7日発表より)
これらはガイナックスの元メンバー、旧経営陣によって立ち上げられた企業ですが、株式会社ガイナ、福島ガイナのようにガイナックス社との資本関係が存在しないところもあります。カラー社いわく、「ガイナックス」の商標使用許諾が現時点で結ばれていないとのことですが、これが事実であるとしたら、各社が「ガイナ」「ガイナックス」の名称が使用できなくなることを意味します。
この件については、ガイナックス社も6月7日の発表で「付記」として記しており、上記社名を挙げた上で「今後、株式会社カラー様との間での利用許諾の無いガイナックス商標の運用は、不正使用となる可能性があります」と指摘しています。
付記:
弊社の屋号やブランドの他者による悪用、乱用を避けるため、「ガイナックス(GAINAX)」の商標はすでに株式会社カラー様に譲渡され管理をいただいています。
弊社ガイナックスは、「株式会社ガイナ(スタジオガイナ)」および「福島ガイナ」(以上いずれも、旧「福島ガイナックス」)、「ガイナックスインターナショナル(GAINAX International)」「GAINAX京都」「米子ガイナックス」「株式会社ガイナックス新潟」「GAINAX WEST」等の法人とは無関係であり、今後、株式会社カラー様との間での利用許諾の無いガイナックス商標の運用は、不正使用となる可能性があります。弊社が管理しておりました作品の今後の運用については、破産手続きによる確定後、別途お知らせする所存です。
(ガイナックス社6月7日発表より)
しかしながら6月7日時点で、カラー社・ガイナックス社が言及した各社ともに公式声明は一切行われていません。唯一、米子ガイナックス代表の赤井孝美氏が自身のXアカウントでメッセージを出していますが、「ガイナックス」名称の使用等については言及していません。各社の今後の動きが気になるところです。
■ 関係者間では偲ぶ声あがるもファン達は「何をいまさら……」そのワケは?
ガイナックス社の破産発表を受け、SNS上ではさまざまな反応が見られました。かつてガイナックス社の作品に関わったクリエイター陣からは当時を偲ぶ声があがる一方、ファン達の反応は「何をいまさら……」と白けムードが多勢を占めています。
冒頭でも述べた通り、「新世紀エヴァンゲリオン」の著作権はカラー社に移行しており、「すでにガイナックスは『エヴァの会社』ではない」ということ、さらに2019年の元代表取締役逮捕が決定打となり、この時点ですでに「ガイナックスは『抜け殻』の状態」という見方が広まっていたようです。
鳥取県米子市の方言で「大きい、すごい」を意味する「がいな」に未知を意味する「X」をかけて名付けられたガイナックス。今回の一連の声明によって庵野氏による「がいな」尽力が明らかとなるも、痛恨に満ちた結果となってしまいました。今後の動向についてはまだ不透明な点が多いものの、庵野氏の努力が無にならない形となることを願ってやみません。
<参考・引用>
株式会社ガイナックス6月7日発表
株式会社カラー6月7日発表
米子ガイナックス代表・赤井孝美氏公式X(@akai_takami)
(天谷窓大)
提供元・おたくま経済新聞
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