他社のスポーツカーより数年早い発売だった
極秘で開発され、1963年の東京モーターショー直前に出展予定車へコッソリ紛れ込ませて初お披露目され、日産上層部も驚いたという初代シルビアですが、構造としてはダットサン・フェアレディ1500(SP310)のシャシーをベースにクーペボディを載せたものです。
発売時にはベースがフェアレディ1600(SP311)に変更され、リアオーバーハングが短いためシャシー後端を短縮したほかの中身は同じで、型式も「CSP311」とフェアレディ1600のクーペ版だとわかります。
このへんは、他社のスポーツカーがいずれも専用のモノコック構造、あるいはトヨタ2000GTのように専用Xボーンフレームを採用していたのと異なり、ボディさえ作れば、ほぼフェアレディと同じシャシーに載せるだけという手軽さ。
もちろんエンジンはフェアレディ1600と同じR型1.6リッター直4OHV(90馬力)で、DOHCエンジンなど積まないのも早く作れたポイントですが、フェアレディ1600より35kg重いとはいえ980kgと軽量で、空力も考慮したデザインにより動力性能は十分です。
さすがにトヨタスポーツ800のようにレースで活躍することはなく、「早すぎた高級スポーツカー」としてわずか554台の生産にとどまりましたが、1965年に発売できて、3年ほど販売した国産スポーツカーとしては十分売れた方かもしれません。
他の国産スポーツクーペは、トヨタ 2000GT(1967年5月)、マツダ コスモスポーツ(1967年5月)、同 ルーチェロータリークーペ(1969年10月)、いすゞ 117クーペ(1968年12月)と、いずれも初代シルビアより遅れ、あるいは1968年6月の販売終了後に登場。
初代シルビアはそれら他の国産スポーツクーペに先んじての登場で、いかに当時の日産が先進的だったか、スポーツカーに熱心だったかがわかります。
1975年に復活した2代目以降のシルビアは、サニーなどをベースにしたスペシャリティカー的なスポーツクーペになりましたが、いずれ日産が過去の名車をモチーフにしたBEVを市販するような日が来たら、初代シルビアこそセルフリメイクに値する名車かもしれません。
※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。
文・MOBY編集部/提供元・MOBY
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