■両親との再会
1981年3月、キャメロンはコリーンに「お前の両親に会わせてやろう」と言い出した。喜ぶコリーンに、キャメロンは「条件がある」と拳銃を手渡した。銃口を口に入れたまま引き金を引けというのだ。拳銃には実弾が入っているかもしれず、もし入っていたら当然死ぬことになる。コリーンは怯えながらも、ためらうことなく拳銃を口の中に入れて引き金を引いた。キャメロンの命令は絶対だからだ。キャメロンは「コリーンが躊躇なく命までも自分に捧げる」ほど洗脳できていることを確認してから、コリーンと2人だけで彼女の実家に向かった。
車中で、キャメロンは「俺はお前の婚約者」「俺はエンジニアの仕事をしており、転々としている」「俺の仕事の都合で近くまで来たから家に寄った」など、彼女の両親に話す設定を教え込んだ。そしてもちろん「お前の両親に会っている間、カンパニーのメンバーたちが家のそばにスタンバイしている。もしお前が契約を破るようなことをしたら、お前だけでなくお前の両親や家族全員を抹殺する」と脅すことも忘れなかった。
コリーンの実家でキャメロンは自己紹介した後、自分は仕事があるからと姿を消した。コリーンは警察に電話することも両親に訴えることもできたが、カンパニーの存在が怖くて何もできなかった。問題ないように振舞い、「幸せ」だと心にもないことを口にした。
24時間後、キャメロンから電話が入り「10分後に迎えに行く」と言われたコリーンは絶望的な気分になったが、両親に悟られないように振る舞った。2人が家を去る時、コリーンの継母が「記念写真を撮りたいわ」と言ったときも精一杯の笑顔でキャメロンに抱きついた。継母はキャメロンに住所や電話番号を教えて欲しいとしつこく頼んだが、キャメロンは笑顔で「申し訳ない。実は今、引越しの真っ最中で。新居に落ち着いたら手紙を書きますから」とかわした。
それから3年間、コリーンはほとんど外に出してもらえない奴隷生活を送った。コリーンの絶望感は凄まじいものだったが、キャメロンはそんな彼女の暗い表情を見て喜んでいた。そう、彼は骨の髄までサディストだったからだ。