■奴隷契約書
男はコリーンと会話はせず、一方的に命令だけした。男から「ジャン」と呼ばれていた女も、コリーンに噛みつくなどの異常な行動ばかりをした。
その年の秋にかけて、コリーンは全裸のまま、目隠しをされた状態で監禁されていた。日中は地下室の棺桶の中に入れられ、夜になると男が食事を持って降りて来て、食後に拷問を受けた。
1978年1月、男はコリーンに「奴隷契約書」に署名しろと命じた。そこには「絶対に逃げません」「首輪をつけます」「命令には絶対に従います」「ご主人様、マダム、2人の命令に従います」「どんな拷問も受けます」と書かれていた。契約書には、男が地下組織・通称「カンパニー」に属していることや、署名した者がこの契約に書かれていることを破れば「カンパニー」が動くと明記されていた。
契約書に署名するしかなかったコリーンだが、その日を境に服を着て地下室から出られるようになった。性的行為だけでなく、台所の掃除などの家事もするようになり、まさに奴隷になったのだ。男はコリーンに対し絶対的権限を持っており、家事をしている時でも、命じられたら彼女は全裸になって両手を上げ、男に鞭で叩かれなければならなかった。
逃げようと思えば逃げられるチャンスはあった。しかし、コリーンは「カンパニー」を恐れて逃げようとはしなかった。それどころか次第に「奴隷としていかに満足してもらえるか」努力するようになっていた。
こうして夫婦は誰にも疑われることなくコリーンを誘拐、監禁し、見事なまでに奴隷へと仕立て上げた。彼らは一体何者なのだろうか。