脚本家、原作者からさまざまな反応
この問題をめぐる業界内の反応は大きく、脚本家、原作者となる漫画家などから数多くの声があがっている。『こういうのがいい』が23年10月にABCテレビでドラマ化された漫画家・双龍さんはX上に
<メディアミックスって想像以上にいろんな業界が一挙に動いていて、人数規模も大きいから意図通りに行くわけがないと言うのは前提としつつ考える必要はあるなぁと私も経験してわかったことだし、とはいえ全ては原作者の意向に沿うのが当然だという意見は変わらないよ>
<原作の意味が分かってない人と分かってる人とで言ってる内容に天地の差がある。わかってない人は謎視点を作り上げて改変側を擁護する。わかってる人は尊敬の念も無く合意も無い改変は悪とする。どっちが正しいのか明らかかなのにな>
とポスト。
『のだめカンタービレ』(講談社)の原作者・二ノ宮知子さんはX上に、
<原作者が予め条件を出すのは自分の作品と心を守るためなので、それが守られないなら、自分とその後に続く作家を守るためにも声を上げるしかないよね…>
とポスト。『18歳、新妻、不倫します。』(小学館)の原作者・わたなべ志穂さんはX上に、
<改めてですが芦原先生はとてもリスクを持ち発言されたと思います。俳優さんを傷つけるのではないか、ドラマを楽しんだ方から非難されるのではないか、自分はこれ以上傷付くのか。ドラマ制作時作者には味方はあまりに少ない。勿論大事にして下さる現場もありますが多くは違うはず 飲み込む作家がほとんどでしょう。それは冒頭の俳優さんや視聴者原作ファンのために>
とポスト。
また、参院議員で漫画家の赤松健氏はX上に、
<漫画や小説のメディアミックス企画(アニメ化やドラマ化)では、昔から頻繁に「原作者の望まない独自展開やキャラ変更」などが問題になってきた。もっとも近年は「原作者へのまめな報告や根回し」が行われるようになり、昔のような「原作者が協力を拒否して(オリジナル企画へと)タイトル変更」などというような事は少なくなってきたと思う>
<まだまだ「(原作者への)事前説明の徹底」と「二次使用に関する契約書」の詰めが甘いということだ。この2点は主に出版社と制作側(製作委員会など)側の問題だが、原作者側でも「事前の説明で納得がいかなかったり、後から約束と違うようなことがあった場合の相談場所やその知識」が必要になってくると考える>
とポストしている。
日本テレビで解説委員やドキュメンタリー番組のディレクターを務め、放送局の現場に詳しいジャーナストで上智大学教授の水島宏明氏は、1月30日付当サイト記事で次のようにコメントしている。
<近年のテレビドラマでオリジナル脚本よりも漫画や小説などの原作をもとにした作品が目立っています。他方で、ドラマ制作にあたっては地上波での「放送」だけでなく、インターネットでの「配信」も可能になる環境づくりを進めています。かつてはこうした際の契約はかなりずさんで、使われている音楽などの権利処理ができずに昔のテレビドラマをネットで配信できないという事態に陥っています。現在はその点はかなり改善されており、ネット配信も見据えた契約書となっています。契約そのものが以前よりも厳密なものになっているので、原作がある作品についてドラマ化する場合にも、原作の扱いをどうするのかについては、かなり細かい点まで詰めた契約を交わしている可能性が高いと思います。
今回、契約はどうなっていたのでしょうか。契約書の内容そのものが詳しく明かされていないため明確にはいえませんが、原作をどう扱う取り決めになっていたのかをめぐって原作者と日本テレビの制作サイド、あるいは脚本家との間で「解釈のズレ」が生じていた可能性が大きいと考えています。特に原作者と脚本家の間で「解釈のズレ」があったことは、SNSでの発信などから見てとることができます>
(文=Business Journal編集部)
提供元・Business Journal
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