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軽いタパスのはずが、これはもうコース料理!
日本酒への想いを語る熱い男たち
軽いタパスのはずが、これはもうコース料理!
さてさて次のお料理はこちら、見たことがない程とても大きなマッシュルームですよ。「このお料理と『剣菱の瑞祥』という5年以上熟成したお酒をペアリングすることで、松の実の香ばしさと、マッシュルームの香りが口いっぱいに広がります」と中野さん。
濃厚でどっしりとしたソースと、それに負けない熟成度の高いお酒。タパスなのにコース料理のメインディッシュをいただいたかのような満足感です。
タパスは他にもう一品ありました。シャキシャキポテトのカルボナーラと、まろやかな「大黒正宗」のペアリングは甘味×旨味の際立つ逸品で、個人的にはベストマッチ賞。これによって日本酒はチーズや卵などとも合うということがはっきりと分かりました。
お互いの存在によって、より魅力を引き出し合えるというペアリングの魔法。ふわりとその魔法をかけられたまま軽い酔いも心地よく、いつまでも漂っていたいような時間もいよいよ終わりが近づいてきました。
突如サプライズで、メニューにはなかったデザートが。セバスチャンが今回の日本滞在でインスピレーションを受けた中にイチゴミルクがあり、「苺と甘酒のカクテル」とストロベリー(チョココーティング)が生まれたのだそう。シャーベット状の甘酸っぱいカクテルドリンクが華やかに最後を飾りました。
日本酒への想いを語る熱い男たち
長くひと連なりのカウンターには垣根がなく、誰にでも声をかけやすいこの空間。通路を端から端まで歩くだけで、人と目が合いにっこりと微笑めばそこに花咲く会話にスッと入っていける、ここにはそんなオープンさがあります。おかげで今日はたくさんの人達と知り合いに。
イベントが終わる頃に、カウンターにいたセバスチャンに声をかけると「僕のお気に入りの場所を教えるよ」と、連れて行ってくれたのが日本酒のネオン看板の前。昭和なネオン管と、Tシャツの「Everyday Sake」のロゴが妙にマッチしていてナイスです。
10年間「Sakeアンバサダー」として世界各地で日本酒を広めてきたセバスチャン。年を追う毎に、日本酒が勢いよく受け入れられてきていると言います。
「今回は、灘五郷酒所に来て坂野さんの情熱に感銘を受けて何かやりましょうという所からのスタートだった。日本に来るたびにいろんな所からオファーが来て一期一会の出会いを大切にしているけど、今日もここで素晴らしい体験ができた」
なぜここでやったのかというと、灘五郷酒所に関して新しい可能性を皆さんに知ってもらいたかったからだと語ってくれたセバスチャン。そんな言葉の端々からはたっぷりの日本酒愛を感じられます。
そんなセバスチャンの想いに応えるべく、坂野さんも日本酒の役割を語ります。「神戸のご飯のポテンシャルをペアリングにより高めることができるのが、日本酒なんです。ここにはおいしい水があり、それを育む六甲山、森、川、海がある、そこから生まれるのがおいしいお酒です」
「(日本酒を通して)地元の人間が地元のことをいいと思えるきっかけを作っていくことも大事かなと。まずは楽しさで盛り上げていきたい。食のペアリングや知らない人同士のペアリングなどをしながら、灘から楽しい日本酒文化を広げていきたいですね」
「ここは酒神社でもあると思っているので、まずは集うことから始めようと。コニュニケーションは人にとって大切なことなので、この神社に人々が集い『祭り』にしていきたいんです」と坂野さんは熱く語ります。