3年ルールと混同される5年ルールとは

「5年ルール」とは、有期労働契約を結んでいる労働者を対象としたルールのことです。同じ企業での更新が通算で5年を超えた場合に、無期労働契約に変更することが可能。そのため「無期転換ルール」とも呼ばれています。平成25年4月1日以降に発生した有期労働契約が5年ルールの対象です。

5年ルールは、1年ごとの更新や3年ごとの更新など更新期間にかかわらず、有期労働契約を締結している労働者であれば適用されます。3年ごとに更新がある方の場合、1回目の更新期間の最中に無期転換申請権が発生します。

無期転換の申請を企業側は断ることができません。書面にて無期労働契約への転換を申請すれば、手続きは完了です。

参考:厚生労働省「契約期間が 5 年を超えたら「無期転換」できます」

派遣3年ルールがあるメリット

派遣3年ルールによるメリットをご紹介します。このルールによってメリットを得られるのは主に派遣労働者側です。待遇とキャリア、2つの観点からメリットを解説します。

派遣社員の待遇改善を促せる

厚生労働省は派遣労働者のキャリアアップと雇用の安定を図るために、2015年に派遣法を改正し、派遣3年ルールを導入しました。派遣3年ルールがあることにより、派遣社員の待遇改善を促せるというメリットがあります。

派遣法が改正される前、派遣の雇用は専門26業務は無期限、それ以外の業務は原則1年、最長3年と制限されていました。派遣3年ルールにより業務による制限を撤廃し、全ての事業所・個人に対して同様の派遣期間の制限が適用されるようになりました。

キャリアプランを立てやすい

派遣3年ルールによって派遣期間が明確になり、労働者がキャリアプランを立てやすいというのもメリットです。最大で3年の契約延長が可能なものの、派遣労働者が同じ事業所で働けるのは原則3年です。そのため、次の働き方やキャリアを意識して具体的な行動を取りながら働くことができます。

派遣法改正前、専門26業務は有期雇用ではなく無期雇用でした。現在は業務や事業所、個人に関係なく3年であることが明確になっているので、キャリアプランを意識した働き方が可能となっています。

派遣3年ルールのデメリット

派遣3年ルールにはデメリットもあります。3年以上同じ部署で働けないこと、無期雇用から直接雇用に変更するケースが少ないこと、失業給付まで待機期間があることの3つです。メリットだけでなくデメリットもあることを理解し、適切な対応を行いましょう。

3年以上同じ部署で働けない

派遣3年ルールにより、派遣労働者は3年以上同じ部署で働くことができなくなっています。例えば、総務課で就業していた方が4年目以降も同事業所で就業する場合、営業課やシステム課など、異なる課に異動する必要があります。これを個人単位の期間制限と呼びます。

無期雇用から直接雇用に変更しにくい

同事業所内で課を異動しながら更新を続けた場合、更新が通算5年以上になった時点で無期労働契約に変更することができます。無期雇用は期間制限がないため安定して働けると思いがちですが、一般的に無期契約になると直接雇用がされにくくなるとされています。

派遣社員から正社員登用を目指している方は、必ずしも無期雇用が良い条件とは限らないことを理解し、無期雇用に変更する前に対応しましょう。

失業給付を受けられないことがある

3年の期間満了で契約が終了した場合、失業給付金の受給まで待機期間が発生します。期間満了の場合、契約終了が会社都合であっても、労働者側の判断であっても待機期間は同様です。短期雇用特例被保険者として判断され、受給手続きをした日から、3~4週間後に失業が認定され、失業保険が給付されます。最低でも1ヶ月間は失業給付まで待機する必要があることを留意しておきましょう。

参考:厚生労働省「Q8 雇用保険(基本手当)は受給手続きをしてから、どのくらいで支給されるのでしょうか。」