法定外福利厚生の主な種類一覧
食事や住宅など、幅広い領域でさまざまな法定外福利厚生制度が存在します。その中から代表的な福利厚生の一部をご紹介します。企業・従業員にとってそれぞれどんなメリットがあるのかも解説しているので、ぜひチェックしてみてください。
食事
食事に関する法定外福利厚生を導入している企業は多く存在します。例えば、社員食堂の設置や食事手当、ランチ補助などがあります。有名なところで言うとGoogleは朝・昼・夕の3食を従業員に無償で提供していることで知られています。
食事に関する福利厚生は、日常的な出費を抑えられるため従業員から非常に好評です。企業が非課税の福利厚生にするには、一定の条件を満たさなければならないものの、制度の内容次第では実現可能です。
参考:国税庁「No.2594 食事を支給したとき」
住宅
住宅に関連する法定外福利厚生は、家賃補助・住宅ローン補助・社宅提供・社員寮提供などがあります。住宅にかかる費用を一部企業が負担するため、食事に関する福利厚生と同様に従業員から好評な制度です。
ただし、家賃補助にするのか社宅・社員寮を提供するのかで企業側・従業員側の負担が大きく変わります。基本的に家賃補助は給料に上乗せして支払われるため、加算される額に応じて所得税や住民税なども増え、企業・従業員共に負担が増えます。
税金の面を考えると社宅を用意した方が企業・従業員共にメリットが大きいとされています。
通勤
通勤に関する法定外福利厚生は、通勤手当が一般的です。多くの企業が通勤手当を福利厚生として導入しています。上限が設けられてはいるものの、一般的な範囲内であれば全額支給されることがほとんどです。
通勤手当は通勤手段や通勤距離によって非課税の上限が異なります。交通機関を利用している従業員に支払う通勤手当の非課税限度額は10万円です。自動車・自転車通勤だとまた上限額が異なります。
参考:国税庁「通勤手当の非課税限度額の引上げについて」
慶弔
慶弔に関する法定外福利厚生は、慶弔休暇や慶弔見舞金などがあります。多くの企業で導入されている福利厚生で、慶弔休暇はお祝い事や不幸な出来事があった際、企業から付与される特別な休暇です。慶事であれば2〜5日程度、弔事であれば1〜10日程度が一般的な休暇日数ですが、企業によって付与される日数は異なります。
慶弔見舞金も一般的な相場はあるものの、実際に給付される金額は企業によります。慶弔見舞金は基本的に非課税で、課税対象とならないのも特徴です。
健康
健康診断以外にも、健康に関する法定外福利厚生として導入できる制度は複数あります。近年、テレワークの普及により座る時間が増え、歩いたり運動したりする時間が減少しています。政府が健康経営を推進していることもあり、企業・従業員共に健康への意識が高まっています。
福利厚生としては、例えば人間ドックやインフルエンザ予防接種を企業が負担する取り組みが挙げられます。メンタルヘルスケアに関する福利厚生も導入する企業は増えています。
働き方
近年は、働き方に関する法定外福利厚生制度を導入する企業も増えています。テレワークやフレックス、時差勤務など柔軟な働き方を可能とするための制度が多く見られます。
働き方に関する福利厚生は運用や体制の整備に時間がかかります。多様な働き方を可能にしつつ、それによって業績が低下していないかどうかもチェックする必要があります。
プライベートを重視する働き手が増加している現代においては、従業員が働き方を自由に選べる福利厚生は非常に喜ばれます。
子育て・介護
育児や介護に関する法定外福利厚生は、労働人口が減少している日本において、今後も人材を確保し続けるために重要な要素であるとして注目されています。
育児・介護共に、休暇・休業の拡充や男性従業員の休暇・休業制度充実、在宅勤務、短時間勤務などの福利厚生が一般的です。近年は介護離職の増加も問題視されています。
福利厚生を充実させ、育児や介護を行っている従業員が働きやすい環境を整えることは、従業員にとっても企業にとっても重要です。
余暇・レクリエーション
余暇に関する法定外福利厚生とは、夏季休暇・冬季休暇・特別休暇・生理休暇などです。一方、レクリエーションに関する法定外福利厚生は、例えば社員旅行や社内部活・サークルの補助などが挙げられます。
どちらも従業員のリフレッシュやワークライフバランスを向上するのに効果的。レクリエーションに関する福利厚生は、従業員同士の信頼関係構築やコミュニケーションの活性化にも繋がります。
資格・自己啓発
従業員が自身の能力を伸ばし、イキイキと働くための取り組みとして、資格や自己啓発に関する福利厚生を取り入れることも検討してみてください。
資格取得に必要な費用や書籍購入費、セミナーや研修参加に関する費用の補助などがあります。従業員はスキルを身につけられ、企業側は優秀な人材が増え業績向上に繋がるので双方にメリットがあります。
財産形成
近年は、従業員の財産形成をサポートする福利厚生も注目されています。持株制度や確定拠出年金制度の導入が一般的です。
新型コロナウイルスの感染拡大やロシア・ウクライナ戦争など、社会的な変化が突然起こりうる現代では、企業が将来的に継続していけるかどうか誰にもわかりません。先行きが不透明な中で従業員に少しでも安心して働いてもらうには、企業が積極的に将来の財産を形成するサポートを行うことが必要です。
財産形成は導入までの準備や体制を整える準備が大変ではあるものの、運用コストが低いので比較的気軽に導入できます。