社員一人当たりの法定福利厚生費

日本経済団体連合会の調査によると、社員一人当たりの法定福利厚生費は全産業で約8万円(2019年度)です。

法定福利費の構成は、厚生年金が約55%、健康保険・介護保険が約36%、雇用保険・労災保険が約5%、子供・子育て拠出金が約2%となっています。

近年は、健康保険や労災保険料が引き上げされていることもあり、雇用主・従業員どちらも負担が大きくなりつつあります。

参考:日本経済団体連合会「福利厚生費調査結果報告」

法定福利厚生の種類一覧

法定福利厚生は全部で6種類あります。制度ごとに事業主・労働者の負担割合が異なります。各制度が利用される場面もあわせて理解しておきましょう。

健康保険

健康保険とは、病気や怪我、それに伴う休業、出産・死亡など不測の事態が起きた際に医療費や手当て金などを支給するために必要な制度のことです。

健康保険料は企業と従業員で折半して支払います。健康保険は従業員とその家族(被扶養者)も対象です。なお、業務中・通勤中の怪我や事故に関しては労災保険の扱いになり、重複して給付を受けることはできないので注意しましょう。

参考:経済団体健康保険組合「健康保険とは」

厚生年金保険

厚生年金保険は公的年金の一種で、企業に勤め、かつ加入条件を満たしている全ての方に加入する義務があります。国民年金は60歳までですが、厚生年金保険は70歳まで保険料の支払いがあるのが特徴です。

厚生年金保険は健康保険と同様に、企業と従業員が折半して支払います。支払い義務が終わった後は、国民年金に上乗せして支払われます。

参考:日本年金機構「年金Q&A (厚生年金保険の制度)」

雇用保険

雇用保険は、失業した方や教育訓練を受ける方が安心して生活を送ったり、就職活動を行ったりするために支払われる給付制度のことです。育児休業や介護休業をしており、条件を満たす場合にも給付金が支払われます。

雇用保険は事業主と労働者で負担の割合が異なります。事業主は2/3、労働者は1/3を負担します。

参考:厚生労働省「雇用保険制度」

介護保険

介護保険は、介護が必要な高齢者や家族が介護サービスを利用する際に給付金を支給する制度のことです。第一号被保険者は65歳以上、第二号被保険者は40〜64歳までの医療保険加入者です。介護保険は事業主と労働者で折半して支払います。

参考:厚生労働省老健局「介護保険制度の概要」

労災保険

労災保険は、勤務中や通勤中の傷病を対象に保険給付を行い、被災労働者の社会復帰の促進を支援するための制度です。労災保険は、企業に雇用される労働者であれば正規・アルバイト・パートなど雇用形態を問わず適用の対象となります。労災保険は原則、事業主が全額を支払います。

参考:厚生労働省「労災補償」

子ども・子育て拠出金

子ども・子育て拠出金は、子育て支援に充てる支援金制度のことです。以前は「児童手当拠出金」と呼ばれていましたが、平成27年4月に「子ども・子育て拠出金」に制度名が変更されました。

子ども・子育て拠出金は企業が全額負担します。従業員は子供の有無に関係なく負担することはありません。

参考:日本年金機構「子ども・子育て拠出金率が改定されました」