■失われた30年
「失われた30年」と言われるように、この30年間、日本経済は低迷してきた。90年代後半には実質賃金は低下したのであり、デフレが進行していった。
賃金については、日本では諸先進国に比べて、驚くほど上がっていない。OECDのデータを基に、1995年〜2020年の25年間に、各国で名目賃金と物価が、それぞれどれくらい伸びたかを検討すると、韓国が2.92倍/1.92倍、アメリカが2.23倍/1.7倍、イギリスが2.08倍/1.64倍、ドイツが1.64倍/1.41倍なのに対し、日本は0.96倍/1.04倍である。つまり、日本のみが賃上げ率が物価上昇率よりも低いのである。
2012年12月に自民党が政権に復帰し、安倍晋三首相は、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「三本の矢」を掲げ、デフレからの脱却を目指した。このアベノミクスは内外に大きな期待を呼び、2013年5月には株価は1万5千円台を回復した。その後も、経済は順調に回復していき、株価は2015年4月22日に15年ぶりに2万円台を回復した。