以下は、今回の雇用統計の詳細。

〇非農業部門就労者数

米4月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は前月比17.5万人増となり、市場予想の24万人増を下回った。前月の31.5万人増(30.3万人増から上方修正)からほぼ半減し、6カ月ぶりの低い伸びだった。

NFPの内訳をみると、民間就労者数は前月比16.7万人増と市場予想の18万人増を上回った。5カ月ぶりの低い伸びとなる。前月の24.3万人増(23.2万人増から下方修正)も超えた。民間サービス業は15.3万人増と、前月の20.4万人増(19.0万人増から上方修正)を下回った。

チャート:NFPは増加トレンドを維持も伸びは鈍化、失業率は2022年1月以来の高水準に戻す

nfp24apr_nfp (出所:Street Insights)

2月分の3.4万人の下方修正(27万人増→23.6万人増)と合わせ、過去2ヵ月分では合計で3.4万人の下方修正に。とはいえ、3月の上方修正と合わせても、2過去2カ月分で2.2万人の下方修正となる。2023年以降では、15回のうち速報値ベースで12回目の下方修正に。以前から筆者が指摘し2023年7月に入ってウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙も記事で取り上げたように、NFPは労働市場を過大評価している可能性が引き続き意識される。

チャート:NFPと修正幅(グレー枠は2023年での修正幅)

nfp24apr_revision (出所:Street Insights)

サービス部門のセクター別動向は11業種中で8業種で増加し、速報値ベースで9業種を下回った。今回最も雇用が増加した業種は7カ月連続で教育・健康、次いで輸送・倉庫、小売が続いた。その他、公益は横ばい。専門サービス(派遣含む)と情報は減少した。専門サービスは6カ月ぶりに減少しており、テクノロジー関連のほか幅広い専門分野での雇用減を示唆する。

(サービスの主な内訳)

nfp24apr_sec2 (出所:Street Insights)

財生産業は前月比1.4万人増と、6カ月連続で増加。業種別をみると、建設が13カ月連続で増加したが、伸びは2023年4月以降の増加トレンドで最も小幅だった。製造業は3カ月ぶりに増加。逆に鉱業・伐採は3カ月ぶりに減少した。

(財生産業の内訳)

nfp24apr_sec3 (出所:Street Insights)

チャート:業種別、雇用の増減

nfp24apr_sec (出所:Street Insights)

チャート:20年2月との比較、民間サービス部門は前月の4.3%増→4.5%増と25ヵ月連続でプラス圏をたどると共に上げ幅を広げた。政府を含めたサービス部門の11業種中、当時の水準を超えた業種は、小売の前月が下方修正されたため、10業種に戻した。輸送・倉庫、専門サービス、情報、金融、公益、卸売、教育・健康、小売、政府。一方で、小売は微減、その他サービスが引き続きマイナスをたどった。

nfp24apr_ser (出所:Street Insights)

財部門は3.5%増と前月と変わらず、24ヵ月連続でプラス圏を守った。建設が前月の7.8%増→7.9%増と伸び拡大に寄与した一方で、製造業は前月は3カ月連続で1.4%増だった。鉱業・伐採は引き続きマイナスをたどった上、前月の5.7%減→6.3%減に拡大した。

nfp24apr_ma (出所:Street Insights)