冬眠する神経が発見された!
手術の際に体温を下げてダメージを小さくする超低体温法は一般に行われているが、体温を下げると血液が固まりにくくなり、出血が止まらなくなる。そこで人工冬眠を使って代謝を下げつつ、体温は下げない技術を理化学研究所・生命機能科学研究センターでは研究中だ。

(画像=Created with DALL·E,『TOCANA』より 引用)
冬眠のスイッチを入れる神経がマウスで見つかったのだ。2020年6月5日、筑波大学の櫻井武教授と理化学研究所の砂川玄四郎らの研究チームは、マウスの脳に休眠誘導神経= Q 神経を発見した。 Q 神経を薬物や超音波で刺激すると、マウスが冬眠状態になるのだそうだ。
小さい動物は敵に会うと死んだふりをするというが、あれはふりではなく、本当に仮死状態になっている。冬眠と同じなのだという。
マウスの場合、肉食動物の匂いを嗅ぐと動けなくなる。気を失うのだ。このマウスにとっての恐怖の匂いをチアゾリン類恐怖臭という。
マウスにチアゾリン類恐怖臭を嗅がせて卒倒したところで、ケージ内の酸素を減らす。酸素を減らしてマウスが普通なら平均11.7分で窒息する状態でも、卒倒中のマウスは平均231.8分も生き延びた。なんと20倍である。
マウスが冬眠するなら人間も冬眠するだろうというのが研究者の考えだ。人間に Q 神経があれば、人間も冬眠できるのではないか? 白雪姫は毒リンゴを食べて眠りに落ち、ガラスの棺の中で眠り 続けた。果たして人工冬眠に入った人間は、何年も何十年も経って目覚めることができるのだろうか。

(画像=CNO=酸化クロザピンという薬物で Q 神経を刺激したマウスは、急激に体温が低下、平熱の37度からほぼ外気温に近い24度まで低下し、冬眠状態に入った 画像引用:筑波大学・理化学研究所「冬眠様状態を誘導する新規神 経 回 路 の 発 見 」,『TOCANA』より 引用)