■トランプが返り咲いたら?

アメリカ大統領選挙の結果がどうなるかは予測できないが、トランプ勝利の可能性は十分にある。日本をはじめ諸外国も、「もしトラ」に備えて、トランプ・シフトをとりつつある。

トランプは、「腐敗したワシントンに民主主義を取り戻すために、質の悪い官僚たちを排除する」と述べている。トランプは大統領任期が終わる直前の2020年に大統領令を発令し、仕事ぶりの悪い連邦政府の役人を解雇できる道を開いた。しかし、次期大統領に当選したバイデンは、この大統領令を失効させている。

もし、11月にトランプが当選すれば、4年前の大統領令を復活させる予定である。そうなると、かつての猟官制度の復活ということになり、官僚の任用は、能力ではなく、トランプへの忠誠度が基準になってしまう。

従来は、政権交代に際して閣僚などトップ行政官約4千人が交代する慣わしであったが、これに加えて、約5万人が政治任用されるという。官僚機構の能力低下が懸念される。