■女性に対する怒りを募らせるジョージ
仕事は長続きしない、金銭面では大嫌いな母親に頼らざるを得ない――そんな生活を送っていたジョージが、「自分の怒りをレストランで爆発させたい」という願望を抱くようになったのは、きっかけがあった。
1984年7月18日、メキシコとの国境に面したカリフォルニア州サン・イシドロのマクドナルドで、迷彩服を着て武装した男が無差別に銃を乱射し、21人が死亡、9人が負傷、犯人も射殺されるという事件が発生した。犯人のジェイムス・ヒューバティは、不幸な生い立ちで幼少期から精神を病んでおり、世間に絶望するとともに、死ぬ前に自分がどれだけ怒っているかを表現するために事件を起こしたという。あまりにも身勝手なこの事件は、ジョージが「ルビーズ銃乱射事件」を起こすまで、アメリカ史上最悪の銃乱射事件だった。
この「サン・イシドロのマクドナルド銃乱射事件」のドキュメンタリーをテレビで見たジョージは、被害者に同情するのではなく、犯人のジェイムスに共感したのだ。そして「自分も同じように嫌な人生を歩んできた。死ぬ前に、世間にこの怒りをぶちまけたい」と思うように変化していった。
1989年、ジョージは偏執症(パラノイア)妄想を抱くようになった。さらに、女性に対して軽蔑的態度を取るようになり、嫌悪の対象として敵視し始めた。幼少期から抱いていた母親への恨みは増す一方で、「あのオンナは蛇だ」と暴言を吐き続けた。妄想は酷くなる一方で、常にイライラを抱えるようにもなっていた。まさに、触ると爆発するような精神状態に陥っていたのだ。

(画像=Created with DALL·E,『TOCANA』より 引用)