宮崎のチキン南蛮の元祖の店では、タルタルソースは使われない

チキン南蛮といえば、鶏肉の唐揚げを甘酢だれに一度つけたものの上にタルタルソースをかけた料理、というイメージがありますが、実はチキン南蛮の元祖の店ではこのタルタルソースがかかっていません。

チキン南蛮を初めて販売したのは宮崎県延岡市にある「直ちゃん」という店で、創業者が修行していた洋食店「ロンドン」でまかないとして食べていた甘酢をかけた鶏肉の唐揚げをヒントに1964年に店をオープンして、その看板メニューとして誕生させました。ここでは揚げた鶏肉を甘酢に通しただけでタルタルソースをかけていません。これがチキン南蛮の元祖なのです。

では、タルタルソースをかけたチキン南蛮はいつどこで誕生したのかというと、同じ延岡市にある「おぐら」という店が1965年に出したメニューで、ここの店主も「ロンドン」で修行しており、同じまかないを食べていました。その料理を出すにあたり、何か一工夫をしようということでタルタルソースをかけるということを思いつきました。そこから現在よく知られているタルタルソースがかかるタイプのチキン南蛮が誕生したというわけです。

もし宮崎に行くことがあれば、これら2つの店の味を食べ比べてみてはいかがでしょうか。

昔のオルガン演奏は体力勝負だった

大きな教会などで見られるパイプオルガン、さまざまな長さのパイプとその風を送る管の間にある弁を鍵盤で開けたり閉じたりすることで、多くの音階の音を出すことができます。この風を送る管に空気を送って音を出すため、現在こそは軽く鍵盤を押すだけで音を奏でることができますが、かつてその風圧の力を制圧する技術がなかった頃には、鍵盤を押すにも相当な力が必要だったようです。

12世紀頃、まだその技術が未発達だった頃、鍵盤1つの幅はなんと7cmほどあったそうで、指で押すだけでは簡単に演奏できませんでした。そのため演奏家は体重をかけて思いっきり押すか、こぶしで叩いたりすることで音を出していました。この頃の演奏家は細かい演奏技術よりも体力が必要だったようです。そのため、当時はオルガンを演奏する人はオルガン奏者と呼ばれずにオルガンを打つ者という「オルガン打者」という名称で呼ばれていたそうです。

現在こそオルガンは誰もが演奏される楽器になりましたが、その黎明期はまだ選ばれし人にしか演奏できない楽器だったというわけです。