川澄も認めた浦和の攻撃クオリティー
浦和の2ボランチの一角、柴田も川澄の斜め後ろを虎視眈々と狙っていたほか、最前線の島田も中盤へ降りてここでのパスレシーブを試みている。この浦和の周到な攻撃配置への対応に追われた川澄は守備対応の時間が長くなり、攻撃面で本領を発揮できず。浦和に持ち味を消されていた。
試合後、筆者は川澄にも取材を敢行。2011FIFA女子ワールドカップ(W杯)の優勝メンバーであり、翌年のロンドン五輪や2015女子W杯(カナダ大会)でもなでしこジャパン(日本女子代表)の銀メダル獲得に貢献したレジェンドは、浦和の攻撃クオリティーの高さを認めていた。
ー今日マッチアップしたのが水谷選手と、INAC神戸レオネッサ在籍時にチームメイトだった伊藤選手でしたね。守備面で川澄選手が心がけていたことを教えてください。
「左サイドハーフの伊藤選手が、かなり中(内側)に入ってプレーしてきました。そこのマークを、後ろの白沢選手(新潟右サイドバック)や中盤の選手と声をかけながらやろうと考えていました」
ー川澄選手がボールホルダーに寄せて、パスコースを塞ごうという姿勢は感じられました。ただ、川澄選手の後ろに複数パスコースがあり、それを消しきれていない場面があったように思います。その点はいかがでしたか。
「本当に仰る通りで、(浦和のビルドアップ時の)立ち位置や人数のかけ方が非常にうまいと感じました。自分はパスコースを消していると思っていても、(浦和が)別のパスコースを選んでボールを前に進められてしまいました。こうした場面が(WEリーグの)他の試合と比べて多かったと思います」
「前半は自分とサイドバックの関係性だけでそこを改善したいと思っていたんですけど、ボランチも絡めながら改善していけたらいいなという話し合いを、ハーフタイムに(チームメイトと)しました。そこに関しては後半修正できた部分もあったと思います」
自信がもたらした勝利
先制ゴールで自信を深めたのか、これを境に当初鈍かった浦和の守備の出足が鋭くなる。同クラブは後半も落ち着いたボール保持と時折繰り出す速攻で試合を掌握。後半33分にもセンターサークル付近から速攻を仕掛けると、右サイドを駆け上がった清家のクロスに途中出場のFW菅澤優衣香がダイビングヘッドで反応。浦和に追加点をもたらし、勝利を決定づけている。新潟にも得点を予感させるプレーはあったが、昨年12月の前回対戦よりもビルドアップのバリエーションが増えた浦和に、今回は軍配が上がった。