栗島が活かした前回の反省点
昨年12月に行われたWEリーグ2023/24第5節で、浦和は新潟に0-2で敗戦。この試合ベンチスタートだった栗島の出場機会は無く、浦和のビルドアップは停滞していた。
栗島は今回の新潟戦終了後に筆者の取材に応じ、自身のポジショニングの意図を明かしてくれている。やはり、前回対戦時の反省を踏まえてのプレーだった。
ー先制ゴールの場面で、うまくパスワークに絡めましたね。あのシーンで栗島選手が味方2センターバック間へ入ってビルドアップに絡むと思いきや、すぐ左サイドのフォローに回ってラストパスを繰り出せていました。
「あのシーンは(味方の)距離感が良かったですね。自分がダイレクトパスを裏に置けた(相手最終ラインの背後へパスを出せた)のがポイントでした。走り出してくれたのが(俊足の清家)貴子だったので、相手最終ライン裏にボールを置ければ走り勝てると分かっていました。良いところにボールが落ちましたし、得点に結びついて良かったです」
ー試合が膠着気味だったなか、前半14分あたりに栗島選手が味方センターバックとサイドバックの間へ降りましたね。あのあたりから新潟の[4-4-2]の守備ブロックが崩れ始めた気がします。他の試合でもそのポジションをとっていると思いますが、この試合では何を感じてそこへ移動しましたか。
「自分があの立ち位置をとるのは、相手チームも分かっていたと思います。ただ、自分が相手チームにそれをやられたら(センターバックとサイドバック間にボランチが入ってビルドアップに関わられたら)嫌ですし、そこに立てるタイミングは窺っていました」
「前回の新潟戦を見ていて、相手のプレス(前線からの守備)をまともに浴びている感じがしたんです。その試合に自分は出ていなかった(出場していなかった)ので、どうすればこのプレスを外せるかを考えながら試合を見ていました。前回の反省を活かして、相手のプレスをずれさせるような位置どりをしました」
2ボランチへの厚い信頼
得点シーン以外でも、栗島と柴田の2ボランチが適宜立ち位置を変え、自軍のビルドアップを牽引。球際での強さも申し分なく、3月3日のリーグ戦再開以降この2人が浦和の攻守の要として君臨している。
3月だけで7試合消化予定。この過密日程のなかでも栗島と柴田は直近のリーグ戦3試合連続でフルタイム起用されており、この事実からも今の浦和に不可欠な存在であることが窺える。直近の起用法を踏まえ、筆者は試合後会見で楠瀬監督に栗島と柴田の評価を聞き出すことにした。
ーお伺いしたいのは、栗島選手と柴田選手(2ボランチ)への監督の評価です。連戦のなかでも2人をフルタイム起用し続けていることから、監督からの厚い信頼が感じられます。今日の先制ゴールも、栗島選手と柴田選手がパスワークに絡んで生まれたものでした。この点も踏まえて、2人の評価を改めてお願いしたいです。
「あそこ(2ボランチ)はチームの肝となるポジションなので、(必然的に)僕の評価基準が厳しくなります。栗島は(前十字靭帯断裂からの)復帰に時間がかかりましたけど、出場した試合では常に(相手最終ラインの)背後を狙うし、(攻守の)バランスをとってくれています。(ボランチでプレー可能な)角田楓佳がU-20日本女子代表(U-20アジアカップ)から帰ってきましたけど、今は栗島と柴田のバランスが非常に良いので、なかなか入る余地が無いですね」
「ただ、攻守においてうちの基準をしっかり示さなければなりません。(栗島と柴田に)何かあれば控えている選手はいます。ボランチは(チーム内競争が)厳しいポジションですが、直近の3試合くらいに関しては(2人が)よくやってくれていると思います」