■最後の事件
ケンパーは地元の警察官らと仲が良く、捜査情報をそれとなく聞き出していた。これまでの事件の被害者たちの遺体は次々に発見されており、女性たちが警戒を強めていることもよくわかっていた。頭のいいケンパーでなくても、これだけ派手な事件を繰り返していれば逮捕が時間の問題なのは明らかだった。だから、最後に一番憎んでいる女を殺すことに決めた。——母クラーネル(当時52)である。

1973年4月20日未明。ケンパーは就寝中の母をハンマーで殴打し、ナイフで喉を切り裂いて殺害した。母が他の女たちのようにあっさりと死んだことに、ケンパーは少なからぬショックを受けたという。
ようやく母から解放されたケンパーは、母の遺体もこれまでと同じように扱うことに決めた。首を切り落としてからその体を犯し、頭部はダーツの的にしてめちゃくちゃに破壊した。「長年俺に喚き散らしてきたから、こうするのがふさわしいと思った」と、声帯はディスポーザー(生ゴミ粉砕機)にかけたのだが、肉片が詰まってしまったという。「死んでるのにまだ俺にたてつくか」とケンパーは回想の中でそう毒づいている。
ケンパーは母の遺体をクローゼットに隠すと、母の友人サラ・ハレット(59)を家に招き、彼女も絞殺して頭部を切断し、自分のベッドに寝かせた。その夜は母のベッドで眠った。
『土曜日午前5時15分。彼女がこの恐ろしい人殺しの手でこれ以上苦しむことはない。即死だったよ、眠るような。望み通りに。ちんたらするなよ、諸君。時間はないぞ。俺にはやることがある!』
ケンパーはこんな内容のメモを残して家を出て、車でコロラド州プエブロに向かった。やがてラジオで遺体が見つかったことを知ると、彼は自ら警察に自首する電話をかけた。しかし警察はまともに取り合わず、また後でかけ直すように言った。仕方なくケンパーは知り合いの警察官に電話して自らの犯行を全て話し、警官隊が逮捕しに来るまで電話ボックスでおとなしく待ち続けた。
「飽き飽きしたのさ」ケンパーは自首した理由を端的にそう語っている。
逮捕されたケンパーは2度自殺未遂を図り、裁判では自分を死刑にするように求めた。しかし彼に課されたのは終身刑であった。その後ケンパーはFBIプロファイリングチームの研究に関わるようになり、自身の犯罪について分析を続けた。
ケンパーは現在もカリフォルニア州の医療刑務所に収監されている。

参考:「シリアルキラーズ -プロファイリングがあきらかにする異常殺人者たちの真実(青土社)」「Wikipedia」「Murderpedia」ほか
関連キーワード:アメリカ, シリアルキラー・連続殺人鬼シリーズ
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提供元・TOCANA
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