■ブルックリンの吸血鬼が誕生

 1924年7月11日、54歳になったアルバートはベアトリアス・キールという8歳の少女を、スタテンアイランドの農場から誘拐しようとする。「野菜を運ぶのを手伝って欲しい」と言葉巧みに誘おうとしたのだが、変だと察知したベアトリアスの母親に追い払われこれは未遂に終わった。

ブルックリンの吸血魔 ― 4歳少年をも食した世にも恐ろしい連続殺人鬼アルバート!
(画像=被害者ビリー「YouTube」より ,『TOCANA』より 引用)

 その4日後の15日、アルバートはロングアイランドで8歳のフランシス・X・マクドネルという名の少女を誘拐し、殺害。その2年後の1926年10月5日、5歳のエマ・リチャードソンという少女を誘拐、殺害。1927年2月11日、3歳と12歳の友人兄弟と遊んでいた4歳のビリー・ガフニーを誘拐。3歳の友人は警察に「ブギーマン(子供をさらう伝説上の悪い妖怪)が来たの」と証言したため、地元新聞は「ブギーマンが出た」と大々的に報じ、大騒ぎとなった。

 アルバートはそんな騒ぎを気にすることなく、ビリーをライカー通りの家に連れて行き、翌日まで監禁。翌午後2時にアルバートは家に戻り、強姦するだけでなく、ありとあらゆる拷問をして殺害。遺体をバラバラにして、頭部と両腕、膝から下の両足は重石を入れた袋に入れて近くの湖に捨てた。そして、太ももと胴体は4日間かけて、生で食べたり料理したりして味わいながら完食した。

ブルックリンの吸血魔 ― 4歳少年をも食した世にも恐ろしい連続殺人鬼アルバート!
(画像=被害者グレース,『TOCANA』より 引用)

 1928年5月28日、アルバートは新聞広告欄に「働きます」と応募記事を掲載した18才のエドワード・バッドに、「フランク・ハワード」という偽名を使って会いに行った。ニューヨークのファーミングデールに大農場を持つオーナーという設定で、エドワードを獲物として拘束しようと訪問したのだが、予想以上に体格がよかったため、断念。その代わりにエドワードの10歳になる妹グレースを狙うことにした。アルバートは「フランク・ハワード」になりきり、エドワードの家を数回訪問。彼の両親に「自分の農場でとれた」として、フルーツや野菜を渡し、信頼を得ることに成功。「近くで妹の孫の誕生日パーティーが行われているので、ぜひ同年齢のグレースを連れて行きたい」というアルバートの申し出にも、快く応じてもらえた。こうしてグレースを連れ出したアルバートは、事前に調べていたロチェスターの空き家に彼女を連れ込んだ。

ブルックリンの吸血魔 ― 4歳少年をも食した世にも恐ろしい連続殺人鬼アルバート!
(画像=空き家,『TOCANA』より 引用)

 返り血を浴びないため全裸になったアルバートは、2階のあるクロゼットの中に隠れてから、庭で待たせていたグレースを呼んだ。2階に上がった彼女は全裸のアルバートを見て泣き出し、「ママに言いつける!」と逃げ出した。アルバートはグレースを押さえつけ、叩かれたり、ひっかかれたりの抵抗を受けながら全裸にし、首を絞めて殺害。9日間かけて、彼女の血を飲み、肉や臓器を食した。あまりの美味さに有頂天になったアルバートは、このことを知らせたいという気持ちを抑えきれなくなり、グレースの母宛に「どうやって殺して、バラバラにして食したか」を図入りで細かく執筆。「強姦しようと思えばできましたが、あえてしませんでした。娘さんは処女のまま死んだのです」と書き、6年後の1934年11月11日に郵送した。

 この6年間にもアルバートは次々と殺人を犯したと見られている。1930年7月13日は4歳のエミル・アリング、その後の1931年5月2日に6歳になるロビン・ジェーン・リュー、1932年2月15日に16歳になるメアリー・エレン・オコナー、1932年12月15日には17歳のベンジャミン・コリングズを殺害したと見られている。