■首吊り、窒息、解剖… 人知れず繰り返された惨劇

 悪夢のホテルを舞台に、さまざまな手法でホームズは殺人を楽しんだ。

 ある被害者は、防音のベッドルームに閉じ込められ、そこにガスを充満させられて中毒死した。また、ある被害者は、ホテルの2階にあった、通称「首吊り」部屋に連れて行かれ、ホームズの手によって絞首刑に処された。また、ホームズのオフィスには巨大な金庫があり、その中に閉じ込められ、薄れゆく酸素の中で窒息死していった被害者もいた。

 残虐性と高い知性を併せ持つホームズは、殺人を犯すたびに、その時の状況や被害者が事切れてゆく様を克明に記録していった。遺体は隠しエレベーターやダストシュートによって地下室へと運ばれ、そこでホームズによって解剖された後に、肉を削ぎ落とされ、骨格標本して学校などへ売却された。また、削ぎ落とされた肉塊や内臓は、高濃度の酸などで溶かされ、証拠は跡形もなく消されていった。

 後に、捜査員がこのホテルを調査すると、地下に掘られていたトンネルからは、人骨の山や手術用の器具なども見つかった。