「ギャ」だけで会話が成り立ってしまった!

――後半はハルカのセリフが「ギャ」だけになるので、演技が難しくありませんでしたか?

詩歩:最初は「これ、どうすんの?」と迷いましたけど、昔から知っているメンバーで演じたので、「ギャ」だけで会話が成り立ってしまったんですよね。言語の起源をやっているような不思議な感覚に陥りました。私たちの会話でもお互いの関係性や相手の表情を読み取っていますが、言葉を「ギャ」だけにしてもそれができたんですよ。

 ちなみに、悪魔は人間を真似しているつもりなので、たとえば「ただいま」は「ニャニャニャニャ」と言っています。観ている人にも絶対に伝わると思います。

――しっかり伝わりましたよ。そんな悪魔のハルカたちと人間のコウスケが一緒に食事しているシーンもよかったです。

詩歩:あれも宇賀那さんの拘りです。「一緒にご飯を食べることが大事だと思うから、何かしら食わせたい」と。だから、悪魔たち側の緑の液体を人間のコウスケが共食したんです。

ホラー映画の常識を覆す『悪魔がはらわたでいけにえで私』主演・詩歩インタビュー! 撮影裏話&オカルト体験を熱く語る
(画像=©『悪魔がはらわたでいけにえで私』製作委員会,『TOCANA』より 引用)

――宇賀那監督からの演技指導はありましたか?

詩歩:宇賀那さんは、自分も役者をやっているからでしょうが、役者を信じてくれる方なので、演技指導はなかったですね。言われたのは「もっとサザエさんみたいにして」くらいです。私たちは最初「ギャ、ギャ、ギャ」と騒いでいただけですが、「ああ、サザエさんか! 『ギャ』で普通に会話すればいいんだ!」となりました。

 長編化で新しく石原(理衣)さんが入ってきました。私は、ちょっと違う「ギャ」が来ると「意外と難しいな。『ギャ』にも距離感があるんだな」と思って戸惑いましたね。でも、最終的には石原さんとも会話になったので、「ギャ」で通じ合えました。

 コウスケ役の野村(啓介)さんはずっと人間役だったので、「『ギャ』の終わるタイミングがわからないから、自分のセリフをどこで発していいかわからなかった」と言っていました。

――特殊メイクについてもお聞きしたいです。

詩歩:宇賀那さんがメイクさんと話し合って、『エクソシスト』のリーガンみたいにしたい、かつ、『死霊のはらわた』っぽさも入れてほしいということで、悪魔っぽいゾンビ系のデザインになりました。メイクさんの拘りで、眉毛を消したり、目の上にゼラチンみたいなものを貼って彫りを深くしたりしました。傷をたくさん付けましたし、胸に十字も入りました。「どのくらい時間かかるか?」というメイクリハーサルがあって、「このくらい時間がかかるから、これはこう短縮したらいいね」と相談しながら、全員1時間くらいで終えていましたね。