架線を張る力の安定性が滑車式に比べて劣る
今回の架線の垂れ下がりトラブルも、滑車式から改良版のばね式に変えておけば起きなかったかもしれない。けれども、架線を張る力の安定性が滑車式に比べて劣る点をJR東日本は気にしていたらしく、なかなか置き換えは進んでいなかった。ほぼ一日列車が運休となったこともあってついにJR東日本も決断し、恒久対策としてばね式への取り替えを順次進めるという。

気になるのは張力の変動率だが、どうやら同社は引っ張る架線の長さを短縮して対処するらしい。同社が2024年1月30日に公表した「東北・上越・北陸新幹線 架線故障による運転見合わせに伴う点検と対策について」によると、ばね式の主な特徴として「張力調整できる架線長がWTB(筆者注、滑車式)より短い」とあった。つまり、最長1.6キロメートルにわたって架線を引っ張ることは行わず、どのくらいかはわからないが、最長で1キロメートル程度にとどめて必要な張力の変動率を確保するのであろう。
一見すると架線とは単なる電線の集まりで、しかもその電線を引っ張るだけの装置にもこれだけの苦労が隠されている。新幹線に乗っていて滑車式やばね式の自動張力調整装置の存在に気づくことはまずない。けれども一度トラブルに見舞われると大きな影響が出てしまう。そうした縁の下の力持ちである自動張力調整装置の役割をときには思い浮かべてほしい。
提供元・Business Journal
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